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媚薬の次は

「あっ……あっ……んんっ……」  ベッドの上で須藤と重なり合う。須藤の手が滑るように慎弥の体を撫で回す。最初にした時とは全く違うゆったりとした愛撫が、再び塗られた媚薬のせいか、慎弥の体には逆に強い刺激となった。  頭がふわふわする中、これまでの須藤との時間をぼんやりと思い返す。  あれからすぐ一緒に風呂に入った。須藤が慎弥の体を洗ってくれたのだが、そこでも指で攻められて慎弥はあっけなく絶頂に達した。あんなに気持ちいい中イキは初めてだった。デカい声を出してしまい、そんなに壁が厚くないこのマンションのお隣が、外出中なことを祈った。  そこで印象的だったのは須藤の均整の取れた体だった。自分もスポーツは得意だし、それなりに体型維持はしているけれど。須藤の体は、プロのスポーツ選手というだけあって筋肉質だが嫌みがなく引き締まり、とても綺麗だった。そんな体格の、クールで男前な顔をした男に執拗に攻められている自分を自覚すると、余計に熱が上がった。  さんざん攻められて、慎弥が息絶え絶えにもう無理だと訴えると、ようやく解放されて風呂を出た。そろそろ夕飯を作らなくてはと、急いでタオルで体を拭いて部屋着を着ようとすると。 『あ、ちょっと待って』  そう言って、須藤がまた鞄をごそごそとし出し、何かを引っ張り出した。 『これ、着てくれない?』  媚薬の次は、コスプレかいっ!と思いつつ、須藤の手元を見る。 『あれ? これ……』 『これ、俺らのチームのTシャツ』 『知ってるけど……。これ、着んの?』 『そう』  わけも分からずとりあえずTシャツを受け取ると頭から被った。 『これ、大きすぎない?』 『まあ、3Lだから』  3LのTシャツは慎弥が着るとだぶだぶで、襟も広すぎるし、丈も尻がすっぽり隠れるほど長かった。 『下は?』 『ないよ』 『……どういうこと?』 『下要らねーじゃん。パンツ履いてるし』 『寒いじゃん』 『エアコン点けたら?』 『いや、そこまで寒くはないけど……』  そこで、嬉しそうな顔で全身を眺めている須藤に確認のため尋ねる。 『もしかして……こういうの好きなわけ?』 『まあね。いいじゃん、彼氏のTシャツ着る子って感じで』 『いや、そこじゃなくて。こういう格好をやらしく眺めるのが好きなんだよな?』 『……そうですね、はい』 『チームのTシャツ選んだのはなんで?』 『いや……手っ取り早く手に入ったからだけど』 『嘘つけ。このTシャツ着てんのがいいとかだろ? 想像力膨らんで。色々と』 『……分かってんだったら聞くなって』 『俺には聞く権利がある』 『はあ……』  と、そこで夕飯の支度を思い出し、この実のない会話を終わらせてさっさとキッチンに立った。料理する間中、後ろからの全身を舐め回すような変な視線を浴びながら。

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