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第19話

小さな変化 2 俺との同棲に、今のところ不満を感じている様子は見られない星くん。しかし、どれだけ星本人が電話で大丈夫だと両親に告げたとしても、顔を見ていない分心配をかけてしまうことになるから。 近いうちに星の実家に足を運びたいと、星には話していなかったが前々から俺がそう思っていたことは確かで。俺は、星の計らいにありがたさを感じたけれど。 現状を考えると今すぐに星の実家に行くことは難しく、明日から2日間の休日を使い実家に行くということもなかなか困難な話だと思った。 顔を見たからといって簡単には帰れない家、星の両親はともかく問題は星の兄貴で俺と同級生の光だ。黙っていれば綺麗な顔の男だが、青月 光(あおつき ひかり)の性格は星と似ても似つかないから。 ワガママな王子様、人で遊び楽しむことを好む男が大学を卒業して就いた職は教師。俺はそれが未だに信じられないし、今でも俺の中じゃ光は悪魔なままで。 星とは違い家を出ていない光は実家暮らしだから、星くんの実家に赴くということは、必然的にプラスアルファのおまけで光にも会わなきゃならなくなる。 ……そう思うと気が重い、というより俺は面倒くせぇーんだ。 星くんは光のことが大好きだし、光は光で星を家に帰したらそのまま拉致りそうだし。星が家族から愛されているのはいいことだとは思うが、愛され過ぎていても俺にとっては悩みの種になってしまう。 王子様専属執事野郎の河口 優(かわぐち すぐる)も光と同じで俺のダチだし、光と優は恋人同士だけれど。アイツらは優が大学院生だということもあり、俺たちのように同棲はしてない。 依存性の高い2人だとは思うが、優は光の行動を束縛するようなことはしないし、俺たちと同様に光と優の関係も星の両親に受け入れられているから。あの2人は基本的に、自由気ままな生活をしているんだろうと思う。 ……まぁ、星も俺も光と連絡は取っているし、俺は優ともたまに話はすんだけどよ。 優は学業と実家の寺修行が忙しいらしく、優も俺と同じで星の実家には足を運んでいないらしい。光からはどうでもいい内容のLINEが週に数回くるだけで、俺は既読をスルーすることがほとんどだから。 今のところ特に問題を抱えているわけではなさそうな2人に、わざわざ会いたいとも思わない俺の頭の中はやっぱりどう考えても面倒くさいの文字しか出てこない。 星くんに尽くすのはなんとも思わないが、あの2人は俺を無駄に扱き使って楽することを知っているから嫌になる。その上、バカップルを貫いているくせに光も優も頭の回転が早く敵に回すと厄介な野郎だ。 けれど、まだ交際を認めてもらえただけに過ぎない関係ではあるが、星と俺、光と優は後々義理の兄弟みたいなもんになるわけで。 あんなヤツらと兄弟になるのかと思うと、この先の俺は苦労しかないんじゃないかと思ってしまうけれど。こればっかりは俺がどう頑張ってもどうにかなる問題ではないため、俺は深く考えることを止めた。

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