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第25話

小さな変化 8 繰り返す夜明けと、日が昇る朝。 眠れない夜を独りで過ごし、結局俺が寝付けた時間は丑三つ時だった。熟睡している星を起こさぬようにベッドに潜り込み、そのうち意識を手放して。 寝室を照らす太陽の光に起こされた俺は、ベッドサイドに置いてあるスマホで時刻を確認した。 真夜中に寝て、起きたのは早朝5時。 俺の隣りで俺から掛け布団を奪っていく恋人、可愛く丸まる背中は猫のようでイラつくことはないけれど。 「……クソ寝みぃーってか、布団返せバカ」 可愛くて、愛おしくて。 俺からは自然と笑みが洩れ、微睡んだ意識の中で小さく悪態を吐く。 寝不足気味の体はまだ起きるには早過ぎる時間だと俺に促し、当然のように2度寝しようと思った俺は星を背後から抱き締めた。 いくら悩んでも、どれだけ考えても。 俺の脳内をいつまでも、高久親子に縛られ続けるわけにはいかない。2人沿って休日の今日は、仕事であった出来事を思考することなく俺はしっかりと休みたいんだ。 この2連休が終わってしまえば、高久親子の問題なんてもんは嫌でも考えなきゃならなくなることで。それなら今は忘れてしまおうと、そう思い閉じた瞳はなかなか開くことがなかった。 「雪夜さん……あの、もうすぐお昼ですよ?」 星の声で目が覚めて、でももう少しだけ寝ていたくて。けれど寝ていたらせっかくの休日が勿体無いと思い、俺は2度寝して怠けた体を無理矢理起こしていく。 「星くん、今何時だ?」 「11時48分です。ぐっすり眠ってましたね、おそようございますです」 ふんわり笑って俺の問いに答えた星は、部屋着のパーカーから生足を覗かせつつベッドに腰掛けて。 「お前また俺の服着てんじゃん。脚エロい、腹減った……ってことで、いただき」 「うわっ!?ちょっ、ゆ…き、っ」 昨日の夜の分も、寝過ぎた分も取り返すように星をベッドに押し倒した俺は、何も考えなくていい休日を満喫しようと星の唇を奪う。 朝から……いや、正確には昼からだが。 仕事がある日は大人しくしていた俺の中の欲を、今日はたっぷりと解放してヤりたい。余計なことを考えずに星だけを感じて、俺はコイツと交じり合いたいのに。 一瞬の出来事で自分に何が起きているのか分かっていないらしい星くんは、俺の下でジタバタともがいていて。 「もうっ、まだお昼なのに……いきなりこんなことされたらオレ、びっくりしちゃうじゃないですか」 訊ねた時刻なんてもんはどうでもいい俺とは違い、星は不満そうに眉を寄せるけれど。 俺のパーカーを1枚羽織っただけで、下着以外に何も履くことなくワンピース状態の服を着て俺を起こしにきた星にも問題がある。こんなに愛らしい姿で空腹の俺の前にいるのは、犯してくれと言っているようなものだから。 「時間なんて関係ねぇーよ、俺は腹が減ってんの。目の前に美味そうな星くんがいたら、喰うに決まってんだろ?」 星の不満を満足に変えるため、俺はニヤリと口角を上げながらそう呟いたが。 「オレは、雪夜さんのご飯じゃありません!」 プーっと頬を膨らませた星くんは、自分がエロい格好をしている自覚がこれっぽちもないらしい。

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