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気になる話 10

「これは……」 「浮気、だな」 いい子な雪夜さんと2人で食事を済ませ、お風呂に入った後。寝るまでの身支度を整えベッドに転がったオレと雪夜さんは、西野君が送ってくれた証拠写真を眺めているけれど。 写真を見つめ、浮気だときっぱり言い切った雪夜さんは動揺を隠しきれないオレを優しく抱き締める。 「お前には刺激が強い写真だ、見たくねぇーなら無理して見る必要はねぇーよ」 「確かに生々しい写真で、本音を言えば今すぐ削除したいですけど……でも、手掛かりはこの写真だけですもん。それに、オレよりこの写真を見たくないのは西野君だと思うから」 弘樹のスマホのデータに、残っていたらしい写真。それを弘樹には内緒で自分のアカウント宛に送り、西野君は弘樹が写真を削除しても証拠として残るようにこの写真を自分自身のスマホに保存している。 西野君が保存した写真が、今度はオレ宛に送られてきて。現在、オレは雪夜さんと1枚の写真を見て頭を悩ませているんだ。 「勝手にスマホのロック解除して弘樹のプライベートを覗き見た西野も悪いけど、見られちゃまずいもんを残しとく弘樹も悪い」 「でも、弘樹は身に覚えがないって……こんな写真があったことすら、弘樹は知らないって西野君に言ったみたいですよ?」 口から出任せを言えるほど、弘樹の頭はよろしくない。そのことを雪夜さんも分かっているからか、オレの言葉を聞いた雪夜さんはもう一度写真をよく観察する。 「……どっから浮気の線引きをするかで、色々と変わってくっけどさ。弘樹が言ってることが本当だとしたら、あのバカ犬は俺の上司並みに酒が弱いってことになるぞ」 「あの、言ってる意味がよく分からないんですけど……もしかして雪夜さん、この写真だけで何か分かったんですか?」 観察した写真から目を背け、大きな溜め息を零した雪夜さんはオレの頭をわしゃわしゃと撫でて。 「よく見てみろ、とは言いたくねぇーけど。この写真は弘樹が撮ったもんじゃねぇーし、あのバカ犬がこの写真のことを知らなくても納得がいく」 「それは、見れば分かりますけど。だって弘樹はベッドで爆睡してるし、隣の女性は裸……ん?」 「ココ、あんまり拡大して見たくねぇーんだけどなぁ……意味、分かったか?」 ホテルで撮られたような写真。 その真ん中にはベッドで眠る弘樹の姿と、長い茶髪で胸の一部を隠した女性がチラッと舌を出している姿が写っている。 でも、雪夜さんがオレに話ながら拡大して指差してくれた写真の隅っこに写っていたものは、おそらく女性が着ていたであろうインナーのトップスで。 床に脱ぎ捨てられているその服は、モザイクをかけたくなるような怪しい液体で汚れているように見えるから。 「あのバカ犬はサークルの飲み会で無理矢理酒飲んで意識がほぼない状態で、先輩のクソアマに拉致られた可能性が高いってこと」 「その後にたぶん弘樹はリバースしちゃって、女性がこの写真を撮ったってことですよね……でも、もしそうだとしたらこれは浮気になるんでしょうか?」

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