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気になる話 11

浮気って、どこからが浮気なんだろう。 弘樹の写真を見て思ったことは、誰もが思う浮気の定義についての疑問だった。 弘樹と西野君のことは、もしもとか仮定や憶測の域を超えない話だけれど。浮気だと断言するには早い気がするこの証拠写真は、オレに様々な疑問を投げかけているような気がして。 「浮気の意味合いだけでみれば、恋人以外の人間に心移りすることや心が浮つき移りかわりやすいことをさすんだけどな」 「でも、それだと一般的な浮気と少し違う気がしませんか?心の問題なら、他の人に気が向いた時点で浮気ですよね?」 「そう。だからカップルの場合、当人同士のルールで浮気の判断基準は変わんだよ。手を繋いだら、2人きりで食事をしたら、キスしたら……とか、もちろん気移りした時点でアウトな場合もある」 オレの疑問にしっかりと答えてくれる雪夜さんは、少し時間をおいた後に写真を見て。 「俺と星で例え話した方が、お前には分かりやすいかもな。もし仮にこの写真に写ってんのが弘樹じゃなくて俺だったら、それでもお前は浮気じゃねぇーって思えるか?」 「それはっ、それはイヤです!!」 問われた言葉とは違う感想を言ったオレだったけれど、雪夜さんは安堵した様子でオレに微笑んでくれた。 雪夜さんが女の人とホテルにいるなんて絶対にイヤだし、その前にオレに内緒で女性と2人でいるなんて絶対にイヤだ。 ちょっぴり不安になることもあるけれど、雪夜さんは絶対にそんなことしないってオレは信じてる。それに、オレは心のどこかで雪夜さんから愛されている自信があるんだと思う。 仕事が終わったら、真っ直ぐ家に帰ってきてくれる雪夜さん。オレが無駄に不安になったり雪夜さんを疑うことがないのは、毎日の小さな信用が積み重なってできた心の余裕なのかもしれない。 それは、雪夜さんも同じなんだって。 オレにそう思わせてくれる雪夜さんの温もりは、オレを優しく包み込んでくれるんだ。 「たとえ肉体関係がなくても、お前が俺以外のヤツとホテルにいたら俺は立ち直れねぇーよ。まぁ、俺ならお前がこんなことになる前にどんな手を使ってでも止めるけどな」 束縛心や嫉妬心が人一倍強い雪夜さんが、どんな手を使ってでもオレを止めるってなったら……オレはこの部屋に閉じ込められてしまうんじゃないかと思い、恐る恐る雪夜さんを見つめたオレはあることを訊ねて。 「……オレ、雪夜さんに監禁されるの?」 「いや、そういう話じゃねぇーんだけど。星にその気がなくても相手が無理矢理って可能性もなくはねぇーし、そうなる前に俺がその相手をぶっ潰すって話」 それはそれで色々と危ないから、オレはやっぱり浮気なんてしないし、浮気だと思われる行動も避けようと心に誓う。 「雪夜さんはこんなことしないって、オレ信じてます。オレだって、雪夜さんが大好きだから……だから、オレは浮気なんて絶対にしないもん」 ……そう、絶対にこんなことしない。 当事者でもなんでもないオレが、浮気をしないと言い張ったところで状況は何も変わらないけれど。それでも、オレと雪夜さんは愛し合っているんだと実感したくて。 どちらかともなく重ねた唇が、オレたちの愛をまた一つ深めていく。

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