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気になる話 15

『金曜の夜が飲み会で、次の日は朝から悠希とデートの約束してたんッスよ。でも、土曜の朝目覚め時には俺はどっかのホテルで真っ裸だったんです』 「なるほどな、お前の状況は把握できた。けど、写真のことはいつ気づいた?」 『それが……えっと、悠希とのデートに遅刻しちゃまずいと思って、混乱する頭のままホテルから出て急いで待ち合わせ場所まで行ったんです。それから悠希と一緒にカラオケ行って、俺がトイレで席を空けた時……部屋に置きっぱだった俺のスマホを悠希が、勝手に』 「それじゃあ、西野が勝手にお前のスマホを覗き見た時に弘樹は始めて写真のことに気づいたのか。証拠写真を見る限り、どう見てもお前が撮った写真じゃねぇーのは分かるけど」 弘樹の話し方から察するに、このバカ犬は正直に回答していると思う。だが、自分でも何が起こっていたのか分からない状態で西野にスマホを見られていたことを考えると、弘樹は弘樹で西野に対して苛立ちを感じる気持ちも分かる。 『俺、自分でも何が起こってたのか分からなくて。それなのに悠希は勝手に俺が全部悪いって決めつけて、俺の話を信じてくんねぇし……』 「そんで、大喧嘩したワケ。まぁ、俺からしたらどっちもどっちだと思うし、なんでもいいんだけどよ。そうは思ってねぇー可愛い子ちゃんが側にいっからさ、一応確認しとくな」 『ハイ、すみません……でも、確認って何を?』 「お前が西野とどうしたいのかだ。このまま別れてもいいと思ってんなら、俺はこれ以上口出ししねぇーよ」 「え、ちょっと雪夜さんっ!?」 聞き捨てならないといった表情で、今まで黙りを続けていた星くんが横槍を入れるけれど。端から弘樹が西野と別れてもいいなんて考えを持ち合わせていないと踏んでいる俺は、戸惑う星に微笑んで。 『別れたくなんかないッスよ!!』 スマホの機能をスピーカーに切り替えてやった瞬間、想いをぶちまけるような弘樹の声が部屋に響いていく。 『でも、でも……悠希は俺のこと信用してくんねぇし、俺が無実なことを証明できるものもねぇし。逆に浮気の証拠写真はあるわけで、どうやって悠希と仲直りすればいいのか分かんねぇから』 何時ぞや聴いたことのある、弘樹のしょんぼりボイス。それを今、星も俺と一緒に聴いていて。 ……俺がコイツを助ける義理なんてないと思うのに、こちとら仕事でそれどころじゃねぇーってのに。 「お前がヤることヤったって保証もなけりゃ、逆もまた然りだ。とりあえず、写真に写ってるクソアマの名前分かるか?」 弘樹を助けるのではなく、星を助ける意味で仕方なく手を貸してやろうと思った俺は弘樹にそう問い掛けた。 『……松浦 愛奈(まつうら あいな)先輩です。4年生で、サークルの副部長やってますけど……あの先輩、俺が何をしたのか問い詰めてもはぐらかしてばっかで』 「星くん、今の名前覚えといて。4年でサッカーサークルってことは、アイツが役に立つはず……弘樹、すっげぇー面倒くせぇーけど力貸してやるよ」

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