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倦怠期って 15

素晴らしい朝、希望の朝……とは、一体どのくらいの頻度でやって来るものなんだろう。 その喜びに胸を開いて、青空を仰ぐ。 なんてことを、毎日できたら誰も苦労はしないだろうに。 できないからこそ、やる気を出せということなのか……詳しいことは定かじゃないが、俺は夢の中で必死にラジオ体操をしていて。 もう何十回目か分からないくらいにエンドレスリピートされる音楽を聴きながら、ふざけんなと思いつつ両腕をあげた時だった。 「……雪夜さん、起きてください。ねぇ、雪夜さん?」 どこからともなく聴こえてきた星の声、僅かに揺れた体が悪夢から俺を連れ出して。反射的に目を開けた俺は、現実世界と向き合った。 「大丈夫、ですか?」 なんとも心配そうに俺を見つめて訊ねてくる星くんは、俺の額にそっと手を置いてくるけれど。 「え、ちょ……うわっ!?」 その手を取ってベッドの中へと星を引きずり込んだ俺は、救世主な恋人を力強く抱き締めた。 「星、起こしてくれてありがと……助かった、マジで。あのまま永遠に動き続けなきゃならねぇーかと思ったわ、はぁ……地獄だった」 どこかも分からない真っ白な部屋に独り閉じ込められ、ただひたすらにラジオ体操をする俺を救ってくれた星くん。しかし、俺がどんな夢を見ていたのか知らない星は不思議そうな顔をするばかりで。 「何があったかは知りませんけど、雪夜さんがすごくうなされてたから……体調悪いんじゃないかと思って、心配になっちゃって」 星が俺の額に触れたのも、いつもより起こし方が荒かったのも。全ては俺を気遣ってくれた上での行動だったらしいけれど。 「でも、熱がある感じはしませんね。動きも早かったし、大丈夫……なのかな?」 「変な夢見ただけだから、そんな心配すんな。大丈夫、ありがと」 体調が悪いわけじゃないことが星には俺の動きから伝わっていたらしく、俺が大丈夫だということが分かった星くんは俺に抱かれながら笑っていた。 その後、俺はよく分からない悪夢のことを星に話して。布団の中でゴロゴロしながら、俺はクスクス笑う星くんにやたらとバカにされている。 「よりによって、どんな夢見てるんですか。雪夜さんでも、そんなおかしな夢見ることってあるんですね」 「俺だって、見たくて見たわけじゃねぇーもん。けど、なんつーか妙にリアルな夢だったんだよ」 弘樹と星の邪魔にならぬよう、ステラを抱いて布団に潜り込んだことは覚えているのだが。いつの間にか二度寝していて、そしてその睡眠によっておかしな夢を見るなんて。 誰にも予想できない不可思議な現象が、俺の脳内で起こっていたらしいけれど。星と戯れ合い数十分後、俺が見た夢のことで俺たちの顔が青くなるなんて……この時の俺たちには、考えもつかなかった。

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