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夢と真実 1

星side 弘樹が家に泊まった日から、1週間が経過した。 弘樹と西野君のことは心配だけれど、今日は西野君と2人で会って西野君の気持ちを聞く約束をしているから。仕事が終わるまでは、しっかりランさんの役に立たなくちゃって……そう思い過ごした午前中の時間は、瞬く間に終わりを告げていく。 「星ちゃん、大丈夫?」 「……え?」 何事もなくランチタイムが終了し、ランさんと休憩時間に入ったオレはランさんからそう問い掛けられて。急な質問に対応しきれないオレは、ボーッとしたままランさんの方を見る。 「最近の星ちゃん、なんだか浮かない顔をしてることが多いから……悩みでもあるんじゃないかと思ってね、雪夜と喧嘩でもしたのかしら?」 まかないのサンドウィッチをオレの前に置いてくれたランさんは、どうやらオレのことを心配してくれているらしい。 ランさんが思っているほど、今のオレには悩みらしい悩みはないけれど。頭の片隅で浮かんでは消える考えごとを、オレはランさんに話してみようと思った。 「喧嘩は、してないです。でも……オレ、雪夜さんに甘え過ぎてるのかなって。あの、ランさんは夢占いって知ってますか?」 ランさんに訊ねながらもオレは両手を合わせ、小さくいただきますと声を出す。 「正夢とかなら聞いたことはあるけれど、夢占いってのは初耳だわ。私にも、詳しく教えてちょうだい?」 ひと仕事を終え、ランさんもオレと同じようにカウンターを挟んで席に着き、オレとランさん2人だけのランチタイムが始まった。 「どんな夢を見たかで、今の状況や未来の暗示ができるってものらしいんです。えーっと、わかりやすく雪夜さんが見た夢で説明しますね」 まるで、来店される女性客のように。 オレとランさんは食事をしながら、仕事とは全くの関係ない話で盛り上がっていく。 「雪夜さんが見た夢は、狭い室内に閉じ込められてラジオ体操をしてたっていうへんてこりんな夢なんですけど。実はその夢の暗示が、あんまり良くないんですよ」 「……想像すると笑えるわね、シュール過ぎるわ」 笑っちゃいけないと思っているのか、ランさんはオレから顔を背けているけれど。どうやら想像の中の雪夜さんがおかしすぎて、ランさんは笑いを堪えきれないみたいだった。 オレも、最初に話を聞いた時はランさんと同じ気持ちだったと思う。あの雪夜さんが独りでひたすらラジオ体操をしているなんて、想像だけでも腹筋が痛くなるけれど。 「今の生活習慣が悪い、極度のストレスを感じている……雪夜さんの夢は、雪夜さん自身がかなり疲れを溜め込んでる証拠みたいなんです」 雪夜さん本人は、大丈夫だって言ってくれた。 でも、オレは夢占いの結果がどうしても気になって……ふとした時に思い出す不安を、ランさんは見抜いてくれたらしい。 「夢占い、ねぇ……私は占いを信じることはないけれど、あながち間違いじゃないのかもしれないわ。雪夜も星ちゃんも、頑張り屋さんだから」

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