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夢と真実 16

飯も食わずに眠りについた星をベッドへ運び、俺はリビングで独りの時間を過ごす。放置していたスマホを手に取り、通知を確認し、思い溜め息を零しつつも康介に折り返しの連絡を入れて。 『白石、やっと出たッ!!』 「そりゃ俺からかけてんだから当たり前だろ、バカ。出たのはお前の方だろうが、20件もイタ電してきて何の用だ」 用件の予想はついているが……俺が星と楽しんでいる間、スマホを鳴らし続けていたらしい康介に俺はそう問い掛けた。 『んふふふぅー、この浅井康介サマの話を聞いて驚くなよ?』 なんとも気色悪い笑い声が響いた後、康介の相手が面倒になった俺は、煙草を手に取り火を点けながらスマホを耳に当てることを止めて呟いていく。 「勿体ぶらずに早く言えや、切るぞ」 『待ってッ!さっさと話すから切らないでくれよ……俺さ、愛ちんと付き合うことになった!!』 「ふーん、そんで?」 『そんで?じゃねぇよッ!もっと言うことあんだろ!?おめでとうとか、すげぇじゃんとか、お前にもやっと彼女出来たんだなとかさぁ』 ……有頂天とは正にこのことを言う、のか。 電話越しのはずなのにうるさ過ぎる康介は、俺に言って欲しい言葉を自分で並べて笑っている。バカとクソアマのカップル誕生を何故俺が祝福しなければならないのか、意味が分からない。 と言うより、そんなことよりも。 「お前の話はどうでもいい。弘樹の件はしっかり問い詰めてきたのか、俺はそれが知りてぇーだけだ」 俺が知りたい……いや、本当は星くんが知りたがっている情報を持つ康介。バカが役に立つ日が来たのかどうか、正直俺はそれさえ知れればそれでいいから。 康介は何を語るのだろうと思いつつ、半分興味なくただ音を聴いているだけに過ぎない俺に、康介は一呼吸して間を置くと話し始めて。 『飲み会の日は、弘樹が可愛かったから愛ちんから誘ってホテルに行ったらしい。でも、弘樹の泥酔が半端なくてお気に入りの服にゲロんちょされちったから、愛ちんは弘樹への仕返しとして写真を残したらしいぞ』 大凡、俺の予想は当たっていたらしいが。 肝心なのは、その時に性行為が行われていたのかが問題で。 「お前の彼女の愛ちんとやらは、結局弘樹とやることヤッてねぇーの?」 最終確認のため康介にそう訊ねた俺は、全てが面倒に感じてしょうがなかったけれど。 『ヤッてないって、弘樹は知らない子の名前をずっと呼んでて気分最悪だったって愛ちんが言ってた。俺なら絶対そんなことしねぇし、愛ちんだけを愛してやるッ!!っつって叫んじゃったもんね、俺』 「あーそ、お役目ご苦労……んじゃ、切るわ」 確認した内容がしょーもないことに今一度気づかせるだけの報告、弘樹の無罪が確定したのなら康介に用はない。

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