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絶望 4

「……あの、ごめんなさい」 何故、オレが謝ってしまったのか分からない。 オレは、雪夜さんに対して何か悪いことをしただろうか……オレは、どうして、こんなに。 「っ、あれ……えっと」 急に胸が苦しくなって、ポロポロと流れた涙。 けれど、その涙の意味が自分でもよく分からなくて。オレは寝室のドアの隙間で、独りオロオロしてしまう。 何をしたらいいのか、雪夜さんの傍にいっていいものなのか。まず、泣き止むことが1番なのかも……って、ぐるぐる考えている間も流れ落ちる涙は止まらなくて。 「お前が謝る必要はねぇーし、泣く必要もない。さっきはごめんな……いや、現在進行形で謝んのは俺の方だ」 オレが棒立ちのまま泣いていると、雪夜さんは遠慮がちにオレを抱き締めてそう呟いた。 抱き締めてもらっているのに、いつも感じる安心感は得られない。ちょっと強引で、優しいけれど力強い抱擁をくれる雪夜さんは今ここにいないから。 ただ、ひとつ。 抜け殻のような雪夜さんから感じ取れたのは、とても不安定な迷いだった。 「雪夜、さ……」 何か言わなきゃいけないのに、名前を呼ぶことすら躊躇ってしまう。戸惑う心を隠し切れないオレは、雪夜さんの腕の中でギュッと目を閉じた。 「星、俺の話を聞いてほしい。たぶん、今しか話せねぇーから。頼む、お前の時間を俺にくれ」 何を言われているのだろう、と。 そう思った時、部屋の暗さが気になったオレはあることに気がついたんだ。 「話して、ください……ちゃんと、聞くので」 夜中から早朝に移り変わる時間、オレの睡眠時間は雪夜さんに奪われるんだって。オレが納得したのと同時に、雪夜さんの余裕のなさが言葉の節々から感じ取れ、オレは徹夜を覚悟した。 そうして、ゆっくりとオレから離れてソファーに舞い戻る雪夜さんの背中を追い掛け、オレは雪夜さんの隣にちょこんと腰掛ける。 これまでの流れと、感じている違和感。 その2つを繋ぎ合わせれば、雪夜さんがこれから話す内容はおそらく良い話ではないんだろうと。複雑な気持ちを抱えながらも、オレは雪夜さんの声に耳を傾けることだけに集中しようと思った。 「星……本当は、かなり前からお前に話したかったことなんだけど。俺が受け持ってる生徒の中に、俺と繋がりがあるらしいヤツがいんだよ」 「えっと、繋がりってどういうことですか?というより、その話ってオレが聞いて大丈夫なんでしょうか……プライバシー保護とか、色々ありますよね?」 集中して、集中し過ぎてさっぱり理解できないオレは、雪夜さんに様々な質問を投げかけてしまうけれど。 「どっから説明すればいいのか、正直俺もよく分かんねぇーんだけどさ。プライバシーなんちゃらとかは無視して、星は知らなきゃならない情報なんだよ……ある1人のスクール生が、もしかしたら俺の子かもしれないって話だから」 「……んー、はぃ?」 質問どころじゃなくなったオレは、雪夜さんの顔をまじまじと見つめて首を傾げていた。

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