143 / 153
キミがくれたもの 7
「お前たち2人が俺たちのような繋がりを持ったことに、光は酷く落ち込んでいる。傷みの共有など、本来ならばするべきではない……が、そうでもしないと伝わらないものもある」
「……お互いに愛してるからこそ、だった」
そう呟いてはみたものの、本当に愛しているのなら傷つける必要はないんじゃないかと俺は自問自答する。
星を溺愛している光に殆どの情報が流れてしまった今、俺は王子に何をされても文句は言えないのに。
「俺も光も、理解はしている。共感できる部分があるからこそ、光は雪夜に会うことを拒んだ。お前を責めても意味がないことを、光は分かっているよ。ただ、今は少しでも星君の傍に居てやりたいのだろう」
「なんつーか、すげぇーありがてぇーんだけどさ。お前らがここまで真っ直ぐだと逆に怖ぇーよ、俺」
俺が知らない星と光の様子を詳しく話していた優は、不意に俺から視線を逸らすとかけている眼鏡を上げて。
「そう言うな、それなりに心配しているんだ。星君の兄は、もう光だけではないのだから。義理の兄だと自分で名乗るのは、些か気恥しいがな……結局、あの日は2人揃って俺が預かることにした」
青月兄弟の恋人として、星の両親は俺と優のことを家族のように迎え入れてくれている。けれど、それは優も変わりなく、星を義理の弟として接していく覚悟でいるのだと俺は理解した。
その心遣いに感謝してもしきれない俺は、優に謝罪を述べることしかできない。
「わりぃーな、本当に申し訳ない」
謝って済む問題ではないが、どうすることもできない俺の言葉を聞いていた優は首を横に振った。
「お互い様だ、気にするな。事が落ち着いたら、俺より光に謝ってやれ……いや、謝罪よりも感謝の意を告げてやることができればいいさ」
この問題を解決し、謝るのではなく感謝して。
もう一度、星との関係をしっかりと修復した上で光を安心させてやってほしいと。光を想う優の気持ちがとても暖かなものに感じられた時、優は逸れた話を戻すように俺を見る。
「さて、ここまでは雪夜の想定内に近い話だったが、ここから先は今後の話になる。まず、星君がランさんから与えられた休暇は1週間だ」
長いようで短い7日間の休暇を得た星は、今頃どうしているのだろう。傍にいることができない俺は、優からの情報を重要視して。
「休暇中に、目と唇の腫れは治まるだろう。今朝はだいぶ、外傷が目立たなくなっていたから。だが、星君が単独で実家に帰るとなるとそれなりの根拠がいるのだよ」
「まぁ、そうなるわな……両親には俺とのことを告げるつもりはないっつって手紙に書いてあったけど、言わねぇーなら言わないなりに他の理由を考えねぇーと」
今は優の家に避難できていたとしても、通勤することを考えるとそれも限界がある。優が1人で住んでいるマンションはランの店からかなりの距離があるため、星が仕事復帰したら優の家には居られない。
「そこでだ、雪夜。お前には来週から2ヶ月間、ホテルに泊まり込みで出張に行ってもらう」
「……は?」
ともだちにシェアしよう!

