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探偵ごっこ 9

飛雅が飛鳥の子と知り、俺の荷が軽くなったかのように思えたが……仕事のことを考えると、やはり俺は一旦停滞しなきゃならないのだろう。 「個人情報漏洩で、俺は竜崎さんに全てを話す必要があんだけど……もう話が複雑すぎて、意味分かんねぇーわ」 数日後には出張の地へ出向かなければならないから、真面目な上司に真実を告げるのは俺が無事に戻ってきてからになるとは思うけれど。 色々と気が重い俺とは違い、兄貴はあっけらかんとしていて。酒の肴をつまみつつ、俺に視線を向けた飛鳥は笑った。 「俺のガキなら、個人情報もナニもねぇだろ。お前は直接関係ねぇんだから、堂々としてりゃいいんだよ」 兄貴はそう言うが、飛雅が飛鳥の子なら、俺は叔父にあたるわけで……心底面倒だと思いつつ、俺は兄貴の意見を否定する。 「簡単に言ってくれるな。飛雅の指導してんの、俺なんだよ。でもって、俺の上司は竜崎さんなんだ……兄貴の子とか、竜崎さんにとっては冗談でも辛いだろ」 真実を知った俺でさえ、まだ動揺しているというのに。どうしたらこうも飄々としていられるのだろうと、俺はそんな考えを巡らせた言葉を告げたけれども。 「ふーん、そういうもんかねぇ」 「は?」 一番の当事者が、他人事のように流し目で俺を見る。竜崎さんと関係がある身の男は、相手の心情を考えられない愚か者なのかと……そう感じ、俺は溜め息を吐くけれど。 飛鳥の瞳の鋭さにかなりの圧を感じた俺は、兄貴の考えが読めないままだ。 「見縊んなよ、やーちゃん……そんなんで辛いとか吐かすようなヤツが、この俺とここまで続くワケねぇだろ」 そんなんって、普通に考えて大ごとだろ。 人一人が産まれているワケだし、良からぬ父親疑惑だけで俺と星だって拗れているというのに。 普通とか、常識とか。 そんなものがこの男に通用しているのなら、ここまで悩む必要がなかったことを俺はすっかり忘れていた。 けれど。 無駄に説得力のある台詞を吐かれてしまうと、納得せざるを得ない。相変わらずクズじゃねぇーかクソ野郎、と……心の声を呟くこともできず、俺から洩れる一言は。 「……あー、ハイ」 兄貴の言い分はごもっともだが、竜崎さんのことを思うと不憫に感じる俺がいる。しかしながら、二人の関係にこれ以上深入りするのは止めておいた方が無難なのだろう。 「やーちゃんは、普段通りに仕事しろ……お兄様の命令だ、隼に余計なコトしたら殺す」 ……こりゃマジだな、大人しくしとこ。 兄貴に竜崎さんのことも、茉央のことも任せられるのなら……俺は仕事と星のことに集中できるのだから、好都合だと割り切ってしまえば問題のない話なのだが。 「今から問う情報のみ俺に流せ、そしたらお前は潔白、自由の身だ。星くんのこと、早く取り戻さねぇとお前のモンじゃなくなるぞ」 「……分かってる」 「やーちゃんと離れると、お前の子猫ちゃんクッソエロい雰囲気出すからな。可愛い顔してすっげぇ物欲しそうな表情すっから、放置プレイもほどほどにしとけよ」 「別に、放置したくてしてるワケじゃねぇーっての……んなことより、兄貴が求める情報ってナニ?」 不安を逆撫でされ、俺は不機嫌極まりない。 しかし、過去も現在も、この兄貴に振り回されている俺は飛鳥に従うしかなかった。

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