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 俺は先程から下肢に顔を埋めたままペニスに舌を這わせている海斗の髪を指先でクシャリと掴んだ。 「う……はぁ、はっ……か……ぃとっ」 「なぁに?」  これ以上大きくならないというほど膨張した俺のペニスを手で扱きながら、口の周りを俺の蜜で濡らした海斗が顔をあげた。 「も……イキたい……っ」 「知ってるよ。恭輔さんのここヒクヒクしてるから」 「じゃ……も、イカせて……くれっ」 「……」  もう限界が近い俺の声は聞こえているはず。それなのに聞こえないふりをしているのか、俺から目を逸らして、テラテラと濡れ光るペニスを愛らしい口で頬張った。 「んあぁぁ!やめ……っ、おい!く……っあぁ」  ジュボジュボと激しい音をたてて吸い上げる彼の口淫に、俺は腰をくねらせて抗う。しかし、がっしりと抑えられた腿には彼の爪が食い込み”逃がさない“と言わんばかりだ。 「あぁ…ダメ……マジ、やば……っ」  腰を浮かせてシーツを掴み、あとは絶頂の証が出口に向けて隘路を走り抜けるのを待つだけだ。  思考が途切れ、目の前が白く霞む。  あまりの気持ち良さに涙が一筋流れ落ちた。 「か…いとぉ!イ…イク……イクッ!」  ビクンと体が跳ねた時、俺の体内でイレギュラーな事が起きた。  下肢に集まったはずの熱が逃げ場を失って渦巻いている。そのうねりは腰から脊髄を通って脳ミソにまで達する。 「ぃやぁぁぁっ!な、なんだ……これっ!ひゃぁっ!!」  涙で滲んだ視界に映ったのは、俺のペニスの根元を輪にした指でしっかりと握り込んでいる海斗の顔だった。  解き放つ瞬間に隘路を塞がれ、行き場を失った精液がグルグルと彷徨っている。  色が変わるほど強く握られたペニスの先端からは白濁交じりの蜜がトロトロと溢れ出ていた。 「海斗っ!おま……っ、なに……したぁ……んっ」 「まだイカせない……。メチャクチャにするって言ったでしょ?」 「やだ……っ!イキ…た、い」  海斗は楽しそうに微笑むと、ナイトテーブルの抽斗からそう長くない紐を一本取り出すと、それをこともあろうか俺のペニスの根元に縛り付けたのだ。  血流が遮断され、膨張したままのペニスが血管を浮き立たせる。 「やだ……やだ……」  苦しさと、体中を巡る熱に浮かされるように何度も首を振る。  そんな俺を見下ろしていた海斗は、乳首に歯をたてながら言った。 「恭輔さんが欲しい物ってな~に?」 「うぅ……おま、え……」 「俺の――何が欲しいの?」  この期に及んで意地悪な質問だ――と思う余裕は今の俺にはすでになく、ただ出したい一心で口をパクパクさせた。 「全部……ほしっ」  乳首を舐められるたびにペニスがビクンと大きく跳ねる。まるで意志があるかのようなその動きに俺は体を震わせた。  シーツを引き寄せながら海斗の意図を何とか読み取ろうと必死になるが、行き場を失った下半身から断続的な快楽信号が送られて来て思考が定まらない。 「――欲しい時はどうするんだっけ?覚えてる?」  海斗のその声でさえも全身が疼き、俺はシーツにしがみ付くようにして体を反転させると、両膝をついて尻を高く上げた。  歯を立てられた乳首がシーツに擦れ、俺は枕に顔を埋めたまま低く呻いた。  海斗の目に晒されている後孔は先程からヒクヒクと収縮を繰り返している。  こうなることを予測して、事前にバスルームで腸内を洗浄し十分に解してきた。  海斗と幾度となく繋がった場所は、淡いピンク色で薄い襞が蕾のようにぷっくりと膨らんでいる。  絶対に見ることなどないと思っていた自分の後孔を、バスルームで鏡に映してみた時、これほど綺麗なモノなのかと感動すると同時に、海斗のあの凶暴なペニスをすんなりと受け入れている事に驚きを隠せなかった。  人間はその環境下に身を置いたとき、生き残ろうとする本能故に順応する。  俺の体も心も、そしてその場所も海斗にすっかり順応してしまったようだ。 「いつ見ても綺麗な蕾だね……恭輔さん」  海斗は尻たぶをギュッと掴んで割り開いてから、ほぅっと感嘆のため息を漏らした。  その息が蕾にかかり、俺はキュッと力を入れた。 「早く……ほしぃ」  艶めかしく腰を揺すって海斗の気を惹こうとするが、彼はパチンと尻たぶを思い切り叩いた。 「はぅ」  突然の衝撃に渦巻いていた熱が逆流し、ビクッと体を震わせた。 「――ちゃんと開いてよ。濡らしもしないで俺のを受け入れる気?ねぇ……」  いつもはジェルを使って挿入をスムーズにするのだが、自分で不要だと言ってしまった以上、今更使って欲しいと言っても無駄だろう。  俺は仕方なく、シーツに胸を押し付けたまま自分の手の人差し指と中指を咥えて舌を絡ませた。  ピチャピチャと音がするくらい唾液で濡らすと、頃合いを見てその手を股の間から後ろに伸ばした。  すっかり熱を孕んだ蕾に触れ、ゆっくりと指を突き込んでいく。 「ん……はぁ、はぁ」  自分の指であっても異物感は否めない。クチュクチュと音をたてながら円を描くように奥へと進めていく。  そこは熱く、何かか絡みついて来る。 「はぁ、はぁ……」  指の根元まで収めた時、海斗が俺の足の間に体を滑り込ませた。  そして――。 「そのまま開いて!」 「え……開く?」 「中で指を広げてっ」  海斗の言葉に戸惑いながら中に突き込んだ指を恐る恐る広げると、すぅっと冷たい空気が後孔から入り込んで来るような気がして、俺はわずかに目を見開いた。  その瞬間、ぬるりとしたものが蕾の中に侵入し、俺は息を呑んだ。  ピチャ…ピチャ……。  仔犬がミルクを飲むような音が背後から聞こえる。厳しい体勢ではあったが首を後ろに向けて振り返ると、海斗が俺の蕾を一心不乱に舐めていた。  そう――まるで自分の唾液を蕾の中に押し込むかのように、舌先を細くしたまま薄い粘膜の入口を舐めている。  これにはさすがの俺も顔から火が出そうなくらい恥ずかしくなった。  互いに裸も局部もすべてを曝け出してきた俺たちだったが、さすがにここまではした事はなかった。  今まで女性の秘部ならば何度かあったが、まさか海斗に自身の後孔を舐められるとは……。 「海斗っ……やめ、ろ!き…汚い……」 「ん?汚くなんてないよ?恭輔さんの大事なところだもん」 「バッ…。バカ、やめろって……っむふ」  時に陰嚢を揉みしだきながら蕾の周りをビショビショになるまで舐めた海斗は、満足気に顔をあげるとペロリと唇を舐めた。 「俺も恭輔さんにペロペロしてもらいたいなぁ……。でも、我慢出来なくなっちゃたから先に挿れるねっ」  無邪気な子供のような声で言いながらも、すっかり膨張し凶暴化したペニスをしっかりと片手で扱き上げながら、俺の膝を割るように両膝をついた。 「恭輔さん、指はそのままね」 「へ?ちょ、ちょっと……待て!抜く!抜くからぁ――ぐあっ!」  俺の制止などまるで無視するかのように、たっぷりとした質量の先端がわずかに口を開いたままの蕾に一気に押し入ってきた。  ただでさえ太く、蕾の入り口を目一杯拡げなければ受け入れられない海斗のペニスに自分の指二本分の厚みが加わり、ピンク色の儚げな蕾はその形をいびつに変えながら海斗を受け入れた。 「ひゃあぁぁ……キ…キツイ!切れる……っ」 「大丈夫だって!ちゃんと見てるからっ」 「そ…いう意味じゃ……ないっ」  ググッと腰を押し進める海斗に自然と逃げてしまう腰をがっしりと掴まれて、俺は息を吐き続けた。  強烈な圧迫感と蕾の引き攣れるような痛み、そして何より海斗の楔の熱さに呼吸もままならない。 「や……はぁ、はぁ……、は……っ」  戒められた自分のペニスの根元がドクドクと脈打つ。 「もうちょっと……っ!力抜いてっ」 「抜け…るか、そ……なもんっ」  狭い器官にギチギチに埋め込まれた彼の熱棒の先端が最奥の壁に当たった時、全身に電流のようなものが流れてビクビクと体を痙攣させた。 「――あれ、もうイッちゃったの?恭輔さんってば、可愛いんだから」 「ふあぁぁ?」   何が起こったのか全く分からなかった。  ぎゅっと縮こまっていた筋肉がふにゃりと弛緩し、シーツに沈んでいく。  毛穴という毛穴から汗が拭き出していた。  双丘の割れ目にチクチクとした海斗の下生えを感じ、彼のすべてを受け入れたことを知った。 「どう?俺のチ〇コだけじゃなくて恭輔さんの指まで咥えちゃってるよ?下のお口はお腹が空いてたんだね……。もぐもぐって根元を食んでるよ」  目を閉じて聞いていれば、とても好青年に聞こえるであろうその声音。しかし、口に出していることはとてつもなく卑猥で思わず耳を塞ぎたくなる。  しかし、それは俺にとって最高のもてなしであり、ディナーなのだ。  ぐりぐりと中を抉るようにして動く準備を開始する。開いたままの口から流れる唾液に頬を濡らしながら、俺は熱い息を吐いた。 「恭輔さんの中、吸い付いて来るみたい……。触手みたいなのでも飼ってる?熱くて……っん!気持ちいい……」  ゆっくりと動きだした海斗に、俺はそっと中に埋めたままの指を引き抜こうとしたが、そのわずかな動きにも中の粘膜は瞬時に反応し快感を伝える。 「や…はぁ……指……あ、あっ」 「抜いちゃダメ!俺に内緒で退職届け出したこと、スマホの電源切って音信不通になったこと……反省してる?」 「してる……んはっ…は、はぁ……ああんっ」 「これはお仕置きだからね!」 「ごめ……ん、な……いっ」 「俺の前から黙って消えるとか――絶対に許さない」  パンパンと互いの皮膚が激しくぶつかり合う音が部屋に響く。それに伴って海斗の息遣いも蕾を擦りあげるグチュグチュと湿った音もエスカレートしていく。 「ふぁ……あぁ……か…ぃと……イイッ……きも、ち、イイ!」 「感じてたら……お、仕置き…に、ならない…だろっ」 「らってぇ……おひり……あな…き、きも……ち、いいっ」 「恭輔さんのチ〇コ、ヤバいことになってるよ!ダラダラ締まりなく蜜垂らして……シーツ、ビショビショじゃん!」 「いやぁ……みないれぇ~」  いつもより激しい海斗の言葉攻めに、大きく開かされた蕾がキュッと締まる。  それと一緒に中も蠢動し、海斗の形をありありと教えられる。しっかりと張り出したカリが前立腺を掠めるたびに、俺は顎を上向けて声にならない声をあげてイッた。 「っふ…ぁあ……イク…イクッ」  背骨が折れてしまうのではないかと思うほどしなり、海斗のモノを食い締める。 「ヤバいって……きょ、恭輔さ…んっ。俺も……イキそ……っ」 「あぁん……出して!俺の……おひりのなか……いっぱいだしてっ」 「あ、あ…イッちゃう、イッちゃうよ……ヤダ…もっと、もっと……繋がってたいっ」 「抜かなくて……いいからぁ!ずっと、こ…このまま……何度も……出してっ!――ひゃ、ひゃぁぁぁぁぁん」 「イクよっ!恭輔さん、愛してる……すっと、一緒……だよっ!――っくぁぁぁ」  海斗が前屈みになって俺のペニスに触れた瞬間、痛みとも痺れともつかない感覚に襲われた。  根元を戒めていた紐がしゅるりと解かれ、それまで堰き止められていた熱と精液がグルグルとマグマのように沸騰し、狭い隘路を我先に駆け上がる。  ゾクゾクと背筋に甘い痺れが駆け抜け、頭が真っ白になった。 「あぁぁ……あぁ…っうく……まら、出てりゅ……止まらなくなっちゃったぁ」  涙を流しながらビクビクと体を跳ねさせ、まるで失禁でもしてしまったかのように精液が勢いよく吐き出されシーツを濡らしていく。  背後では海斗が俺の尻たぶに爪を立てたまま大量の精液を迸らせている。最奥に叩きつける灼熱の白濁が敏感になった俺の襞をしとどに濡らし、そのたびに奥歯がガチガチと鳴った。  尻を高く上げていた俺だったが、腰が抜けたように力が入らなくなり、まだ海斗と繋がったままシーツにだらりと落ちた。 「――あんっ。恭輔さん、それ気持ちいいっ」  俺が崩れ落ちたことで、吐精した直後で敏感になっている先端の角度が変わり、海斗はその感触に悶絶した。  ずしりと背中に彼の重みを感じて、何とか呼吸を確保しようと顔を横に向けて荒い息を繰り返した。  どれだけ出しても小さくなることのない海斗の熱棒を中で感じながら俺は目を閉じた。 「――恭輔さん」 「ん――」 「気持ち良かった?」 「ん――」  汗で濡れた背中にキスを繰り返しながら問う海斗に、ぼんやりとした頭で何も考えることなく返事を返す。  長い間強いられた無理な姿勢と、ダムが決壊したかのような射精で、俺の体力はすでに限界を迎えていた。  イク瞬間に引き抜いた指のせいで出来た隙間から、海斗が吐き出した精液が溢れ出ているのが分かる。 「ねぇ……俺のこと好き?愛してる?」 「ん――」 「俺は恭輔さんのこと、ここに閉じ込めておきたいくらい愛してるからね……」  肩甲骨に沿って唇を這わす海斗の動きが心地いい。そのおかげで重なっていても重さは気にならなかった。  そもそも、身長は一〇センチほどしか違わないのに、海斗は異常に軽い。時に女性ではないかと錯覚するほどだ。 「恭輔さん……恭輔さん……」  愛しそうに何度も俺の名を呼ぶ海斗の体が冷えていくのが分かる。  エアコンの温度設定は決して低めではないが、汗が冷えてきているのだろう。 「――海斗」  喘ぎ過ぎてうまく声が出ない。それでも喉の奥に引っ掛かった何かを何度も飲み下して顔だけを上向けた。 「ごめんね、恭輔さん……」 「――恭輔」 「え?」 「二人っきりの時ぐらい恭輔でいいだろ……。これから、ずっと一緒に生きるんだから……」 「きょ……きょ、すけ」  なぜだろう。海斗の声が震えている。  背中にぽたりと落ちた熱いモノが彼の涙だと分かるまでに少しの時間がかかった。  何度も鼻を啜りあげる音が聞こえる。  俺の背中に乗ったまま泣いている海斗をどうする事も出来ずにいると、まだ俺の中に入ったままの彼の熱棒がビクンと動いたような気がして、全身に緊張が走る。 「恭輔~っ!俺……好きすぎて我慢できないよぉ!」  泣きながら叫んだ彼は、上体を起こすなりいきなり腰を使って来た。 「おい……え、ちょ……っと、待てっ」 「待てないっ!俺、絶対に恭輔との子供作る!孕むまで抜かないっ」 「え?えぇっ!お前……何、言ってんの……んあっ…ふ、ふかい……からぁ!」  男同士で子供など作れるはずがないことは海斗も分かっているはずだ。ちょっと暴走するところはあるが、常識は持ち合わせている。  それでも俺との子供が欲しいと腰を振る海斗……。 (か、可愛い……♡♡)  ぐりぐりと中を抉りながら力を取り戻していく彼に身を任せながら、俺は羽枕にすっかり赤くなった顔を埋めて口元を綻ばせた。 「――孕ませてくれ。お前の……子、産むから」 「あぁ……恭輔ぇ~!愛してるよぉ~!」 「俺も……だよ、海斗」  これ以上ない愛情に包まれて、そして灼熱の愛の結晶を注がれて、俺は世界一の幸せ者――そう思った。

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