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第2話

五年。俺達が一緒に過ごすようになって五年だ。 こうして旅行に赴いたのも折角の五周年記念にと水城が言い出した。 もちろん二つ返事で了承した。五年と言う月日を過ごせば、嫌でも愛着が湧くもんだ。まあ水城との関係を嫌だと思ったことはないが。 案外喧嘩もしたことがなく互いに良好な関係を築けている。 いつの間にか水城と居ることが当たり前になった。 最近では水城を可愛いと思っている自分もいる。 多分、きっと俺は……。 「鷹島、僕風呂行くけどどうする?」 「ああ、行くよ」 俺がそうだったように水城にも想い人がいる。叶わない、とは言っていたが具体的な話をしてくれた事はない。 相手が誰でどんな間柄で、いつからどれだけ好きなのか俺は知らない。 だけど少なからず水城にだって俺に対する情はあるはずだ。でなければこんなに長く一緒に居られるはずがない。 この旅行は丁度いい機会だと思った。 “セフレ”じゃなく“恋人”になりたいと告げるいい機会だと。 「温泉も気持ちいいし、料理も美味しいし、最高の旅行だね」 「そうだな」 「あ、鷹島あんまり呑みすぎるなよ?旅行に最高の夜はつきもの、だからね?」 俺の手元から奪われた酒は水城の喉元を下っていく。 「お前こそ酒弱いんだから気を付けろよ」 「このぐらい平気だって。……ねえ、しよーよ?」 ゆっくりとした動作で首の後ろに回っていく腕。浴衣の胸元が広く開いているのは、きっとわざとだ。 「ははっ、見すぎ」 「見せるために開けてるんだろ?」 「まあね」 誘われるまま前の合わせから手を差し入れて肩口の方へ。 滑り落ちていく浴衣の下から顕になる白い肌を、今までで幾度と抱いたことか。 「今日はいつもより熱いな」 「温泉入ったからね。血の巡りがいいのかも。鷹島も温かいよ」 今度は水城の手が俺の浴衣を肩口から落とし、布団へと縺れ込む。 言葉はなく自然と唇を重ね、すぐに舌同士が触れ合った。 「んぅ…………はぁっ……鷹島ぁ、はやく……」 「急かすなよ、ゆっくり抱きたい」 「やだ、我慢出来ない」 覆い被さる俺に縋る手が早くしろと先を促す。 「……仕方ないな」 「特別にゴムなしでもいいよ?」 「それはだめだ」 「ケチ」 旅行鞄を手繰り寄せ、中からゴムと使い切りローションを一つ。 「用意周到だね」 「どうせお前も持ってきてんだろ?」 「はは、正解。なくなるまでしようか?」 「水城が最後まで保てばな。大抵途中で落ちてるだろ」 「鷹島が体力お化けなだけだよ。僕だって成人男性なんだからそれなりに体力はあるんだよ」 「じゃあ見せてもらおうか、その体力ってやつ」

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