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第2話 ご招待

 翌日。この日はグリスタメンバー揃っての握手会&ブロマイドお渡し会である。  最近人気が出てきたグリスタのイベント、参加券を手にすることのできた友渕の興奮は最高潮だ。 ──今日の陽一郎くんも、力強い歌声とダンスでカッコよかったなぁ〜〜!  握手会前に行われたミニライブで盛り上がった余韻に浸っているうちに、順番が回ってきたようだ。  パーテーションで区切られたエリアに入ると、陽一郎が友渕に気づいて軽く手を振ってくれる。  それだけでも昇天してしまいそうになるが、握手をしブロマイドをいただくまでは倒れるわけにいかない。 「陽一郎くん! お、お疲れ様……!」 「こんにちは、友渕さん。今日も来てもらえて嬉しいです」  本気で惚れている相手の前では、ドキドキしすぎてスマートに会話をすることができない友渕。  おずおずと差し出した友渕の右手を、陽一郎は大きな両手でそっと包み込むように握り、ニコリと微笑みかけてくれる。 ──はぁぁ……!笑顔かっわいい!手おっきくてあったかい〜〜!!しかも俺認知されてるし!幸せすぎてどうにかなりそうだ!!  あまり多くはない男性ファンの一人で、陽一郎の出演公演に足繁く通う友渕は、本人にも存在を認知されるほどになっていた。  そっと手を離され、ブロマイドを渡される時にも指が触れ合い、友渕の心臓はバクバクと高鳴ってしまう。 「あ、ありがとう! その……、きょ、今日もすごくカッコ良かったよ!」 「はは、ありがとうございます」  いつも緊張してしまいスムーズに話すことができない友渕に対して、陽一郎は優しく受け止めてくれて言葉を返してくれる。  笑顔が眩しすぎて直視できない!と視線を貰ったブロマイドに落とすと、ブロマイドの他に封筒があることに気がついた。 「陽一郎くん、これ……」  それが何なのかを聞こうとすると、口元に人差し指を当てた陽一郎が無言でウインクする。  そこから友渕の記憶は家に帰った後に吹っ飛ぶ。正直どうやって帰宅したのかすら覚えていない。  帰宅してからしばらく経って、友渕はようやく正気を取り戻した。 「そうだ、ブロマイドちゃんと保管しとかないと……」  お渡し会で貰った直筆サイン入りのブロマイド。友渕にとって宝物であるそれを丁寧にファイリングする。 「これ何だろう?」  そしてブロマイドと一緒に手渡された封筒。その中身が何なのか、ドキドキと高鳴る鼓動を抑えつつ開けると1枚の紙が入っていた。 「なになに、『グリスタチャンネル 〜other side〜 へのご招待』? え、何これ!?」  そんなタイトルの紙面には、『いつも応援していただいてありがとうございます。メンバーからのご招待です。ご満足いただけますと幸いです』と書かれた文章と、謎のQRコード。そして陽一郎の文字で『このサイトの内容は友渕さんと俺だけの秘密ですよ』とメッセージとサインが直筆で書かれていた。 「ひぇっ何これ!? 陽一郎くんが俺に!!?」  興奮と混乱でブルブルと手が震えまくってしまう友渕。  震える手のままスマホでQRコードを読み取り、表示されたサイトを見てみると、おしゃれな雰囲気のページが表示されている。  どうやらここでは動画が見られるようになっており、内容は公演のオフショットや応援に対するメッセージらしい。  友渕は早速イヤホンを装着し、一番上に表示されている動画の再生ボタンを押した。 「このライブ初めて行って陽一郎くんに惚れたんだよなぁ……。ああ可愛い」  今までの公演にそれぞれ思い入れがある友渕は、動画を再生しては陽一郎の魅力に悶えまくっていた。  これが噂の『裏チャンネル』だったのかと感激した友渕は、動画を次々と再生していった。

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