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第3話 ドスケベ動画
数時間後。投稿されている動画を全て見尽くした友渕は、満たされた気分になっていた。
「あーー……幸せだ。……ん? この下にあるの何だ?」
一番下までスクロールすると、謎のハートマークが表示されていた。
リンクが繋がっているか触ってみると、『友渕様へ。この先はunder sideとなります。パスワードを入力してください』という文章と入力フォームが表示された。
「俺の名前書いてある……。アンダー……サイド? てかパスワードって何だ?」
心当たりがあるのは貰った手紙だ。興奮しすぎて分からなかったが、読み返してみると直筆のメッセージのそばにパスワードらしき文字列がある。
分かりにくい謎のページへの入り口、そして名指しの上にパスワード。この先にあるものは一体何なのか。
パスワードを入力すると、黒を基調としたシンプルなデザインのページが表示され、ここにもまた動画が何本か表示されている。
動画のタイトルに目をやると、友渕は驚きで言葉を失った。
「……え??? は……???」
『おち○ぽハメるために鍛えます』『玩具ち○ぽでメスイキしちゃいました』など、卑猥な単語のオンパレード。
いつの間にか妙なアダルトサイトに繋がったのか!?と慌てる友渕であったが、動画のサムネイルに表示されている筋肉質な半裸と見覚えがありすぎる特徴的な首筋のホクロが目に入り釘付けになった。
「こ、これ陽一郎くんでは……!!?? いや、そんなまさか……待て待て何でこんな、えええ!!?」
衝撃的すぎる展開に友渕の思考は追いつかず、心の準備もできないまま一番上の動画の再生ボタンに指が触れてしまった。
『こんにちは、厚海陽一郎です。この動画を見られるなら、今更改めて自己紹介なんていらないよな』
「ほ、本当に陽一郎くんだ……」
どこかホテルのような場所で、半裸でにこやかな笑みを見せながら話す陽一郎の姿に、友渕は信じられないと言った様子で呟く。
『今回はいつもとは違うエロい動画を撮ることになってるから、ちょっと緊張しちゃうけど……、楽しんでもらえたら嬉しい』
陽一郎はそう言うと穿いているズボンを脱ぎ、ボクサーパンツ一枚の姿でベッドに上がった。
『カメラ位置、調整させてくれな。……これでよし、と』
ちなみに映像は定点カメラのようで、身を乗り出した陽一郎がカメラを動かしてアングルを変える。ベッドの上を斜め上から撮影しているようなアングルだ。
つまりこの部屋には他に誰もおらず、陽一郎だけということになる。
ベッドに腰を下ろした陽一郎は、片膝を立てて緩く脚を広げ、股間を強調するような体勢をとる。
半勃ちくらいの陰茎は下着越しでもずっしりと大きさを主張していて、友渕は思わずゴクリと唾を飲みこんでしまう。
そして陽一郎は黒いシリコンでできたディルドを取り出すと、顔のそばに寄せて舌で舐めるフリをする。
『今回はまだ指しか挿れたことないケツマンに、このディルド挿れられるように鍛えたいと思う』
「はぁぁっ♡陽一郎くんネコなのか♡♡やっば……めっちゃテンション上がる!!」
動画のタイトルからも察しはついていたが、陽一郎がネコであることに喜ぶ友渕。
直接関係を持つことは夢物語であるが、大好きな陽一郎が自らの後孔を開発する様子を見られるだけでも奇跡的だ。
『ん……♡もう期待してちんぽ完全に勃っちゃったな♡』
「ああああ陽一郎くんの口からちんぽとか……! うあああちんこすりすりしてる〜〜〜、エロすぎ……!」
普段頼りがいのある母のような陽一郎の口から、『ちんぽ』などという言葉が出てくる時点で友渕は鼻血が出そうになる。
すりすりと指で自分の陰茎を撫でる陽一郎の様子に、興奮が高まっていく。
『この下着、尻だけ開いてるんだ』
ただのボクサーパンツかと思われた下着は、尻穴の周りだけ布が無い状態になっていた。
──えっっっっろ!!!
とんでもない下着の登場に、もはや友渕は声が出なくなってしまう。
『俺がディルド初めてハメるところ、見ててくれ♡』
陽一郎はライブ中、客席に向けて「俺たちの活躍、見ててくれ!」と言うことが多い。
自分だけではなくグリスタ全員を見てほしいと願う、格好良さ溢れる男らしい言葉で友渕もテンションが上がるのだが、今の陽一郎はそれとは全く違い、男を誘う色気を纏っている。
陽一郎はクッションを置いたベッドに仰向けに転がると、膝を左右に大きく広げ、ヒクつく後孔を見せつけるように縁を指で広げる。
尻が高く上がった体勢のため、くぱっと拡げられた後孔は丸見えだ。
『あ、俺ケツ毛だけは脱毛してなくて……。汚いもの見せてすみません』
胸毛もすね毛も脱毛しているのか生えていない陽一郎だが、そこだけは尻毛が濃く生え揃っていて、アイドルにあるまじき雄臭さがムンムンと漂っている。
「ああああ!!そのギャップがいいんだよ!!!!」
──そのもっさり毛が生えたケツマンを、思いっきりクンニしてあげてとろっとろに解してぇ〜〜!!
陽一郎の尻穴だけは剛毛で覆われているなど、友渕にとってはご褒美でしかない。感激の涙で視界が歪み、動画を一時停止しタオルで荒々しく涙を拭う。
再び動画を再生すると、陽一郎は後孔にローションを垂らして、指でクチクチと縁を弄りながら焦らしている。
『よ……っと、まずはローションで濡らして、指でほぐしていくぞ』
──ん?これまさか無修正か!!?
ここで友渕は、この動画が修正されていないことに気づく。
陰茎は下着で隠されているため修正の必要がないのだろうが、さすがに後孔に指を挿れるとなると修正がいるはずだ。だがこの動画にはモザイクひとつかかっていない。
『んぉ♡♡指だけなのに、こんな気持ちいいとか……やっばい』
そんな友渕の疑問を吹き飛ばすように、イヤホンから熱い吐息混じりの陽一郎の声が耳に飛びこんでくる。
『おお゛っ♡♡こんなはしたないとこ見られてる♡♡うんんん♡♡♡」
くちゅくちゅと厭らしい水音が激しくなるとともに、陽一郎の喘ぎも色濃くなっていく。
画面の向こうで見ている視線を意識しているのか、恥じらうように頬を染めている。
だが咥えこんだ指をキュンキュンと締めつけているところから、それが気持ちいいのだと物語っているようにも見える。
そうしてしばらく指で後孔を解していた陽一郎は、名残惜しげに指を引き抜いた。
『はぁ♡はぁ……♡そろそろいけるか……?』
指が抜けてヒクヒクと物欲しげにヒクつく後孔に、友渕は生唾を飲みこむ。
たまらず穿いていたズボンを下着ごと脱ぎ、ガチガチに勃った陰茎を取り出し右手で扱きだす。
──ハメたい!!陽一郎くんのほかほかケツマンコに俺のちんこハメて突いてイかせたい!!!
もはや友渕の脳内は、陽一郎とセックスしたいということしか考えられなくなっている。
『ディルド初めて買ってみたけど、上手くできるかな』
陽一郎は後孔にローションを注ぎ足し、溢れ出す液体を塗り広げるようにディルドの先端を縁に擦りつける。
この後の快感を期待しているのか、陽一郎の視線は擦りつけているディルドに釘付けで、物欲しげな表情をしている。
『ふーっ♡ふーっ♡♡よし、……んおおお♡♡♡ほぉ……♡♡これ、デカい♡♡♡』
ぐぷぷ……と縁を押し拡げながらディルドが沈んでいくと、陽一郎の表情が一気に蕩けていく。
初めてディルドを挿れたとは思えないほどの感じようで、今まで指でどれだけ自己開発していたのだろうかと友渕はニヤニヤと笑みが止まらない。
『んん゛っ♡♡♡気持ちいい♡♡ほおおお♡♡♡ここやっべぇ♡♡♡』
イイところを刺激したのか、背を仰け反らせてビクンと身体を震わせる陽一郎。
アイドルの姿からは想像ができないほど、雄々しく下品な喘ぎではあるが、それが更に友渕の興奮を高めていく。
『はっ♡♡あ♡♡ちんぽ一緒にシゴいたらすぐイきそ……♡♡♡』
下着の色が変わるほど先走りを溢れさせている陰茎を露にした陽一郎は、その逞しい陰茎をシコシコと扱き始める。
ディルドを持つ手の動きも激しくなり、ぬちゅぬちゅと水音が大きくなる。
『いぐ♡♡いぐいぐ♡♡も、いぐぅぅ♡♡♡〜〜〜〜〜っっ♡♡♡♡♡』
陽一郎は舌を突き出し首と背を仰け反らせ、鍛え上げられた腹筋や胸筋に精液をまき散らし、絶頂に身体を震わせた。
達する瞬間にディルドから手を離してしまったため、後孔から勢いよく抜けてしまい、それすらも快感となっているようだ。
『ほぉぉ♡♡♡あぇ……っ♡♡』
両脚を閉じることができず、絶頂の余韻に浸る陽一郎。
ぽっかりと開いたままの後孔は、ひくん♡ひくん♡と咥えこむものを求めているかのようにヒクついている。
──くっ、イク……!!
それを見た友渕も手のひらに精液をぶちまけた。人生の中でこんなにも気持ちの良い自慰があっただろうかと、ティッシュで手を拭いつつ思う。
友渕は自慰後特有の脱力感で勢いよくベッドに倒れこんでしまい、イヤホンが耳から落ちる。
だが動画にはまだ続きがあった。画面の中の陽一郎は復活したのか、クッションをよけたベッドに仰向けになり切なげな表情を浮かべている。
『あの人にちんぽ挿れてもらえたら、どれだけ気持ちいいんだろ……』
その言葉は友渕の耳には入っていなかった。
この動画が置かれているページに入る時に、友渕の名前が書いてあったこと。
なぜこの動画が無修正だったのか。そして陽一郎が最後に呟いた言葉の意味。
その理由を友渕が知るには、まだ時間がかかるのであった。
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