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”
「これ……」
「好きって言ってたから。本当は生花にしたかったけど、この病院は禁止なんだと。堅苦しいよな」
南原が、肩をすくめる。
「あ、ありがとう……。この方がいいよ! ずっと保存できるし。……南原、僕、大事にするね?」
嬉しすぎて、どうにかなりそうだ。南原が、見舞いに来てくれた。しかも、自分の好きな花を覚えていて、持って来てくれた……。
抑えようとしても、勝手に顔が赤くなってしまう。南原は、そんな百合人をじっと見つめていたが、やがて言いにくそうに口を開いた。
「あのさ、花岡。……その、福井には会ったか?」
なぜ唐突に福井の話題を持ち出すのだろう、と百合人はきょとんとした。
「ううん。あいつ、見舞いに来なかったもん」
「そうじゃなくて。今日、病院内で会ったりしなかったかな~って。……ほら、同じとこに入院することになったわけだし」
「は? 入院? まさか福井って、ここに入院したの?」
百合人は、口をあんぐりと開けた。
「どうしてまた?」
南原は、ますます複雑そうな表情を浮かべた。
「骨折したからだよ。……折ったのは、俺だ」
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