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 するとアポロンは、チラリと百合人を見た。 「で、お前は? 見たところ、まだ二度目の失恋は経験していないようだが」 「あいにくですけど、僕はもう恋なんてするつもりありませんから。だから、失恋することもないです」 「恋をしないなど、寂しいことだな」 「――誰のせいで!」  思わず声を荒らげたその時、百合人を呼ぶ声がした。見ると僚介が、店内から顔をのぞかせていた。 「あ、暁さんと一緒だったんだ。急にいなくなったから、心配したよ」  すみません、と百合人は頭を下げた。 「暁さんも、戻ってもらえます? お客さんがお待ちです」 「すぐ行く」   アポロンは、短く答えた。僚介が店に引っ込むと、彼はにやりと笑った。 「あの男が、二度目の恋の相手ではないのか?」 「ち……、違いますよ!」  百合人は、ドキリとした。 「彼は僕に、恋なんてしなくてもいいって言ってくれました。恋をせずに生きる方法を、僕は彼から教わってるんです。……とにかく僕は、絶対恋愛なんてしません!」  言い捨てて百合人は、店内へ駆け込んだのだった。

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