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”
「はぁっ……、あっ……、ああっ……」
目の前の橘の髪が、小刻みに揺れる。彼は百合人の脚の間にうずくまりながら、その果実を、口腔全体で味わうように愛撫していた。
「んっ……、んんっ……」
百合人は、必死に口を覆って、快感に耐えた。だが、熱い舌でチロチロと先端をねぶられれば、限界はあっという間に近づいてきた。また橘の口内に放ってはいけない。そう思うのに……。
「んっ……、あっ、ああっ……」
またしても百合人は、自らを制御できなかった。吐き出された百合人のものを、橘は相変わらず平然と喉で受け止める。口を拭いながら、彼は百合人をチラと見た。
「満足?」
「はい……」
だが、そう答えながらも百合人は、物足りなさを感じていた。なぜだろう。
――後ろの方を触ってくれなかったから……?
思い当たって、百合人は気恥ずかしさを覚えた。今日の橘は、蕾や会陰に指を伸ばすことはなかった。自分が求めていたのは、あの刺激なのだろうか……。
「いまいち満足してないって顔だね」
橘が、意味ありげに笑う。百合人は、意を決した。
「最後まで、してくれませんか」
「……本気なの?」
橘が、目を見開く。彼は、百合人の目を見て微笑んだ。
「優しくするからね」
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