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 体勢を変えられるのは、本日三度目だ。百合人は、ソファの上で四つん這いにさせられ、尻を高く掲げさせられていた。後孔には、橘の指が出入りしている。いつの間にか取り出してきたローションを使って、橘は慎重に、百合人の蕾をほぐしてくれていた。 「ほら、力抜いて……」  気を紛らわすためだろう、橘は百合人の躰のあちこちを撫でてくれた。やわやわとペニスを揉まれれば、若い躰は正直に熱を取り戻していく。そしてどれほど時間が経った頃だろうか、橘がささやいた。 「もういいかな。()れるよ……」  ずるりと指が引き抜かれる。前をくつろげる気配がした後、質感のあるものが蕾にあてがわれた。  橘が、ゆっくりと先端を挿入してくる。今まで経験したことのない異物感と圧迫感に、百合人は思わず身をこわばらせた。 「ううっ……」 「力抜いてて」  きついな、とつぶやきながら、橘は少しずつ腰を進めていく。灼熱の塊に身を引き裂かれ、百合人はこらえきれず喘いだ。 「あっ……、ああっ……」 「声が大きい」  焦ったのか、橘は百合人の顔の前に、ハンカチを差し出した。それを咥えて、百合人は必死に湧き上がる声を押し殺した。 「んっ……、んんっ……」 「……ふぅ。全部入ったよ」  ややあって、吐息交じりに橘が言う。彼は、百合人の背にキスを落としながら、馴染むのを待ってくれた。  ――幸せだ……。  百合人は思った。中で熱く脈打つ存在は、確かに橘の興奮を示している。お互い求め合っている相手と、一つになれるなんて。何て嬉しいことだろう……。 「動くね……」  ややあって、橘はゆるゆると腰を使い始めた。気づけば、違和感は消え失せている。代わりに百合人を包み込み始めたのは、快感にも似た不思議な感覚だった。 「――!!」  その時突如、電流が走り抜けるような感覚が百合人を襲った。何が起きたのか、わけがわからない。びくんびくんと躰を震わせていると、橘の嬉しげな声が聞こえた。 「ここが、いいところだね」  言うなり橘は、そこを狙って突き上げ始めた。 

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