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「むっ、無理っ!」
「わ。ちょ……、泉。急になんだよ!」
絶対壊れる!
つか、切れる。裂ける!
そんな規定外でキャパオーバーなもの、どう考えても俺のに入るわけがない。ちょっと萎えるけど、俺のそこを通ったことのあるものの太さを考えてみれば、なんとか通ったとしても普通サイズの魚肉ソーセージぐらいが限度のはずだ。
行為の前にそこをほぐして柔らかくするにしても、壱人のが入るぐらいに伸びるとは到底思えなかった。これって多分、正しいであろう性知識から言えば何日か掛けてほぐして、壱人のが入るぐらいまで俺のそこを拡張していく必要があるんだよな。
腐のフィルターを外して落ち着いて考えてみれば、これっていわゆる尻の穴を使ったアナルセックスと呼ばれているやつで、ノーマルな男女間のセックスでも一部の人たちは普通にやってることだ。
特殊なことには変わらないけど、一応はそう言った種類のセックスとして男同士だけじゃなく男女間でもやってるわけで。自分にそう言い聞かせてみるけど、やっぱり怖いものは怖い。そしたら、
「大丈夫。優しくするし、絶対に痛くしないから」
そう俺をなだめながら、壱人はちょっと困ったように苦笑ってこんなことを言ってくる。
「その……、さ。そっちも経験はあるから痛くないようにしてやれるし」
「なっ?!」
一瞬、壱人が男と絡まっている場面を想像してしまった俺は、どうやら姉ちゃんのおかげで心の底まで腐植してしまっているらしい。けど、よくよく考えてみたら壱人ぐらいになると経験豊富で、後ろを使うマニアックなプレイも元カノと経験済みってことなんだろう。
つか、嫉妬しろよ、俺。普通はそうだろ。
けど、もうこうなると、嫉妬の範囲をとっくに越えてしまっている。思春期に入ってからの壱人がどんなことをしてきたのかを俺は知ってるし、ある程度は想像もできるし。それだけのことを壱人は経験してきたんだと思うと、元カノたちに嫉妬するどころか同じ男として壱人を羨望してしまう。
ああ。もうなんだよ、ややこしいっ。まさに真っ最中なのに、俺ってば、何を考えてるんだろ。
でも、確かに経験済みならどうしたらいいかも分かるはずで、初体験から流血騒ぎだとか痔主になって病院行きだとかの大惨事は免 れられるかも。そんなことを思っていたら不意に、壱人の腕が腰の後ろに回された。
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