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「ちょ、壱人っ。ど、どこ触って、っっ」  左腕で俺の体を抱え込むようにして器用に浮かせ、ズボンの後ろに反対の腕を差し込んだ。腕、と言うか右手だ。壱人の右手が俺の左側の尻をむんずと掴んだかと思うと、そこをやわやわと撫で始める。  俺の体を浮かせたと同時に壱人は、俺のズボンを一瞬で脱がせてしまった。壱人が体を下の方へずらして身を乗り出すと、壱人の目の前には俺の固くなった股間がある状態になる。 「……ちょ、ばっ」  それを壱人は下着越しに、はむっと音がしそうなぐらい、軽く唇で挟むように口に咥えて、 「――っっ!」  次の瞬間、壱人の中指先の腹の部分が俺のアナルに軽く触れた。  こういった場合、いったいどんなリアクションを取ったらいいんだろう。普通一般的な男子はこれからどんなことになるかなんてわからないはずだし、けど、俺には腐男子的なそれではあるが一応はそれなりの知識がある。  それから、男同士のセックスのノウハウはともかく、アナルセックスはマニアックながらも一応は一般的にも知られてるし……。なんて、どうでもいいことをことを考えていたら、壱人の唇が俺の謎のキャラクターのおパンツを脱がせに掛かった。  やっ、やばい! 「え。ちょっ。待っ、壱人っっ……、え」  慌てて壱人を引き剥がそうと腕を突っ張ったら、意外なことに壱人はあっさり俺から離れてくれた。 「……壱人?」  指先が撫で回すむず痒さに俺の腰が引けてたから、やめてくれたのかな。今、まさに指がそこに入ってくる寸前だったのに。 「……なあ、泉。コンドーム持ってる?」 「へ?」  いきなりそう聞かれて現実に戻された。 「なっ、持ってるわけ……「だよな」  なら聞くなよと言う前に、壱人は、 「なら、ローションもないよな」 「なっ!」  そんなことを言ってくる。  コンドーム&ローションという挿入セットを俺が持っているはずがなく、俺の部屋を奇襲してきた壱人も下準備しているはずもなく。 「泉」 「なっ、なんだよっ」 「一瞬で戻ってくるからちょっと待ってて」 「……へ?」  壱人はそう言うと宣言通りに一瞬で服を着て、窓から自分の部屋に戻っていった。

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