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 壱人が出て行った窓をしばらく呆然と眺め、我に返った。 「待ってろって言われても……」  どんな顔して待ってればいいんだよ。そもそも壱人に散々あちこち弄られ、着崩れが酷い。着崩れのレベルじゃないか。壱人にTシャツとズボンを奪われた半裸の状態だから。  半裸と言うか所謂(いわゆる)パンイチの状態で、おまけに俺の下着の前をずり下ろして俺のを取り出した状態だったから、軽く半勃ちした可愛いそれがぽろりしたままだ。  まさかこのままで待ってるわけにはいかなくて、取りあえずは仕舞っておこうと思うけど。壱人が今まで俺にしてきた恥ずかしい経緯を考えると、いっそのこと下着を脱いで全裸待機の方がマシな気もしてくる。  そもそもこのキャラクターのパンツも恥ずかし過ぎるし、けど、全裸で待ってるのもどーよ。壱人はそれはそれで喜びそうだけど、それは壱人に食べられるのを期待してるようでもあるし……、 「うおっ?!」  そんなことを考えていたらガラッと大きな音をたてて窓が開き、大量の手荷物を抱えた壱人が窓枠を乗り越えて部屋に入ってきた。  時間にして数分。まさに壱人の言う一瞬だった。さっき部屋に引き返したかと思ったのに。手にしているのはどうやら行為に使うアイテムの数々らしく、使用用途が見た目で分かるものもいくらかあり目が(くら)んだ。  壱人が手にしていたものは、大きなバスタオルが数枚。おそらくはその……、壱人の言うローションだろう、思ったよりも大きなボトルに入ったものが二本。それから、まだ未開封であろうコンドームの箱が一つ。 「な、なんで箱なんだよっ。小さな包み一つで事足りるだろ!」  腰を引きつつ壱人に文句を言うと、無言でにっこり笑いやがった。それより結局、仕舞う時間もなかったし。思わずぽろりしてるそこだけを両手で隠して後ずさる。 「泉。ちょっとだけベッドから下りて」  壱人は俺の格好を突っ込まないでそう言うと、俺がベッドから下りたのを見届けてから手際よく下準備を始めた。その間に俺は下げられたパンツを引き上げ、壱人は一番大きなバスタオルを数枚シーツの上に敷き、箱を空けて中身を数個ベッド脇に置く。  どうやらローションの容器も未開封だったようで、壱人は何やらごそごそやっていた。俺は呆然と立ち尽くしたままでそれを眺めていたけど、 「……オッケ。泉。おいで」  どうやら準備が全て調ったらしい壱人に呼ばれる。

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