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交尾が確認されました

 宇宙からのVIPのために用意された高級ベッドが、智也の背を柔らかく受け止める。 「や、やっぱりダメだよ、涼。ここはアルバたちの……」 「俺はアルバたちの好意に甘えたいな」  智也の上で、涼は悪戯っぽく笑った。 「それに、ちょっともう無理そう」  涼は智也の手を取り、服の上から自分自身に触らせた。堅さと熱さが掌に伝わってきて、智也は真っ赤になった。 「ふぁ!?」  なのにこんな時でも、涼は智也を真っ直ぐに見つめてくる。 「智也……、智也」  名前を呼ばれながら身体を包まれると、全身の細胞ひとつひとつが、今、幸せですと声を上げているようだ。 (交尾って、すごいな……)  ただでさえ人づきあいの苦手な自分が恋をしたり、まして誰かと交尾をするなんて、智也は考えたこともなかった。  涼の唇がゆっくりと近づいてくる。智也も恐るおそる唇を開いた。 (甘い……)  柔らかい唇も、割り入ってくる涼の舌も、甘い。きっと涼が与えてくれるものは全て甘いのだ。しかし、 「……甘い」  唇を離した時にそう呟いたのは、智也ではなく涼だった。 「……智也、好きだ」 「ぼ、僕も! 涼が好き!」  返事をしなきゃ、と慌てて答えると、必要以上に大きな声が出てしまった。涼が小さく笑い、智也は頬を染めた。 「……可愛い」  涼は智也の襟元に手を伸ばした。もどかしい手つきでボタンを外してシャツを剥ぎ取り、Tシャツの裾から手を入れる。掌が腹を、脇を優しく撫でながら胸に這い上がっていった。 「んぁ……ッ!」  胸の突起を指の背で軽く撫でられただけで、智也は甘い声を上げてしまう。 「ひ、はぅ……」 「智也。もっと声聞かせて?」 「や、ぁ、」  Tシャツをたくし上げられて、敏感な乳首に涼の唇が触れた。 「ひぁああ……ぅ、ん」 「あふ、ふ、ぁ」  舐められると、信じられないくらい気持ちいい。 「あ……、りょ、ぅ」 「気持ちいい? 智也」 「ぅ……ん……」 「智也は素直で……好きだ」 「ふぁあ……!」  軽く噛まれると、快感が電流のように身体の中心を駆けぬけた。その刺激は智也自身に伝わり、熱く昂ぶらせる。 「ふぁ……っ」  涼は少し乱暴なくらいの勢いで、智也の残りの服を脱がせていった。意外と不慣れなその手つきを、智也は少し嬉しく思ってしまう。自分も服を脱ぎ捨てた涼の身体は、細身なのにしっかりと筋肉がついていた。ほどよく陽に焼け、均整の取れた逞しい身体つき。 (わあ……かっこいい……)  思わず見とれていると、既に興奮しきった自身の先端から、甘い蜜がとろりと溢れた。「――!!」  慌てて隠そうとすると、その手を涼に取られてしまった。 「ひゃ、や、め、だめ、らめ、」 「恥ずかしがることないよ、智也」  涼は智也の手を取ったまま、涼自身に触れさせた。それは智也のものと同じように、しっとりと濡れている。 「あ……」  涼が自分と触れ合うことで、興奮している。そう思うと、智也の蜜はさらに零れて止まらなくなった。涼はそんな智也自身を軽く握り、あの動きをし始める。 「あ、はぅ、ふッ」 「ん、ンッ、うぁ……」 「はっ……はぁ、あ、あぁ……ッ」  小刻みに息を吐きながら喘ぐ智也に、涼は、同じように自身を愛撫するよう促した。 「智也、も……」 「いい、の?」 「うん」  おずおずと指を伸ばして涼に触れると、抑えた吐息が首筋にかかる。ぎこちない手つきで軽く扱くと、涼の身体が震えた。 「あ……」  互いに相手に触れて、快感を与え合う。こんなにも優しい触れ合いがあるのだと、智也は始めて知った。 「ふぁ、ぁ……んッ」 「あ、あぅ、」 「あっ、あ、アッ」  涼の手の動きに合わせて身体が震える。 「ん、りょ……、はぅ……ッ!」  いきなり耳たぶを甘噛みされ、智也はあられもない声を上げてしまった。 「や、……んぁ、あッ、ぁあああ!」 「智也、耳、感じやすいのか」  ちゅうちゅうと音を立てて耳をねぶられる。 「ひぁ、あ、……め」 「だって智也が、ねだるような声出すから」 「だって、な、ぁあ、しゃべんらいれ……」  愛撫を続ける涼の掌が、くちゃくちゃと淫靡な水音を立てた。 「あ、ぁ……っ、や、涼……っ」  二人して互いに愛撫を続けるうちに、どちらからともなく、自分自身を相手に擦りつけ始める。 「うッ……ん、ふぁ、ア」 「は、はふ……ぅ」  聞こえる涼の、荒い息づかい。智也がそっと目を開くと、少し眉を寄せ、切なげな表情で快感に耽る涼の顔が目の前にあった。 「涼……」  零したものでぬるつく性器は温かく、ほんの少し擦られただけで死ぬほど気持ちいい。やがて涼は智也のものと自分のものをひとつに握って、一緒に擦り始めた。 「あ……ッ! や、あ、はぁッ、あうぅ」 「あふ、はぅ、あぅッ」 「んあ! あっ、あ、ぁ」 (うう。気持ちよすぎて死んじゃう……!)  涼は熱く火照った二つの先端を掌でくるみ、くちゃくちゃと揉み込みようになで回した。 「ん、ンンッ、あ、ぁあああ……」 「や、涼、だめ……っ、」 「なんでだめ? これ、気持ちいい……」  上ずった声音で囁かれると、恥ずかしさより快感を求める気持ちがあっさり勝ってしまう。智也は、自分にこんな淫乱な部分があるなんて知らなかった。 (結構エッチだとか思われたらどうしよう……)  しかし涼が智也の敏感な先端に自分の先端を擦りつけてくると、もうそんなことを考える余裕はなくなってしまった。 「ひぁ、あ――……」  身体の力は抜け、ただ快楽に身を任せる。 「これ、気持ちいい? 智也……」 「ん、う……ん」  ずっとこうしていたい。だが、雄の身体には限界がある。そのことを智也は少し悲しく思う。涼が身体を起こし、ベッドサイドテーブルに並ぶボトルの中から潤滑油を取った。アルバたちのために用意されているものだ。 「……ちょっと、借りる」  涼は照れたように笑った。 「あ……」 「あ、その、無理しなくてもいいと思うけど――、智也は嫌……かな?」 「そっそんなことない! 嫌じゃない!!」 「……じゃあ、しよう。智也」 「!!」  そんなに柔らかい声で、表情で、そんなことを言えてしまう涼がかっこよすぎて、智也はなんだか泣きたくなった。 「涼……。好き」 「智也」  涼は智也を安心させるように、首筋や肩に口づけながら足を開かせた。 「んンッ」  潤滑油でたっぷり濡らした指で秘部を撫でられると、智也は恥ずかしさに身を捩る。 「智也……だめ。じっとして……」 「う……っ」  卑猥な音を立てる涼の指にほだされるように、固く閉じた肉の蕾が少しずつ綻ぶ。 「ん……んっ」 「智也、力、抜いて……」  指先が少しだけ、智也の中に入った。 「ひぁっ!」 「ご、ごめん! 痛かった!?」  涼が慌てる。 (いつも落ち着いててかっこいい涼の、こんな表情を、僕だけが見てる……)  智也がそんなことを考えた瞬間、 「あ!」  涼が小さく声を上げた。 「今ちょっと、柔らかくなった」 「う……っ」 「辛い? 智也……」 「だい、じょ、ぶ」  涼が自分に苦痛を与えまいと、逸る心を必死で抑えてくれているのが分かった。その労りを感じるほどに、智也の心と身体は同時にほぐれてゆく。心と身体は繋がっているのだと、そんな当たり前のことを初めて実感する。  心と心を繋げるために身体と身体を繋げる。交尾は自然なことなのだ。 「涼。もう、大丈夫」  智也は声の震えを抑えて言った。自分から求めるようなことを言うのは、少し恥ずかしい。でも、早く涼を受け入れたかった。涼は智也の額にそっと口づけを落とした。 「辛かったら……、言って」 「うん」  欲望に猛る雄を押し当てて、涼がゆっくりと身体の中に入ってくる。智也は目を閉じた。 「はっ、はうぅ……」 (あ、熱い……っ)  肉を割って入ってくる、涼の塊。 「ウ……ッ」  受け入れがたい場所に涼を受け入れながら、智也は耳元で小さく呻く涼に呼吸を合わせた。 「ヒあぁっ!」  身体に楔を打ちこまれるような鋭い痛みで、つい声を上げる。涼は慌てて身体を離した。 「ご、ごめんっ!」 「ちょ、ちょと、いひゃいれふ」 「もっとゆっくりする。ごめん……」 「らいじょぶ……」  涙目になっている智也の呼吸が整うまで待ってから、涼はまた口づけをしてくれた。そして時間をかけてゆっくりと、智也の中に入ってくる。 「んッ、ん、ふ……っ」 「あ、はふ」 「……智也。ちょっとだけ我慢できる?」 「う、ん。だい、じょうぶ」  涼は大きく息をつき、智也にぐっと体重をかけた。身構えてしまって力が入らないよう、智也は身体を楽にして受け入れる。 「ひ、ぁあ――……!」  涼は、きちんと繋がっていることを確認するように、ぴたりと身体を密着させた。 「は、はいった……ね、智也」 「ん……っ」  智也は小さく頷いた。味わったことのない感覚。涼はこうして自分に、新しい変化を運んできてくれる。涼への想いはもう、好き、という言葉だけでは足りない気がした。 「あ、ふ……っ」  涼が智也の中を探るように、注意深く抽挿し始める。 「う……ッ、智也、はぁっ」  耳元で聞こえる涼の小さな呻きが、智也を欲望の高みへ引き上げた。 「ん、ッ、あ、ぁぁ……!」 「あ、あうぅ、は、ふ」 「――ぁんあッ!!」  突然、まるで泡が弾けるように、智也の下半身を快感が貫いた。激しい声を上げたことを恥じる余裕もない。 「ひっ、あぁぁああ!!」 「あぅ、んっあ!」 「……ココ?」 「あ、あぅ! りょ、らめ、そこ、」  だめだと言ったのに、涼は激しくそこを突き始める。 「ああぁぁッ! はう、あ、あぁ、んぁ!」 「い、っあ! ふぅ、アッ、あ」  快楽に翻弄されて智也が声を上げると、涼のくぐもった呻き声も次第に激しくなる。涼の細く繊細な指が、智也の髪をくしゃりと握り込んだ。その瞬間――。 「ひあ、ああぁぁッ――」 「あ、智也っ、俺もう、出る……」  智也が射精したのと同時に、どくどくと熱い奔流が、身体の隅々にまで流れ込んできた。どちらが先に達したか分からないくらい、智也は涼とひとつになっていた。  交尾に集中する二人の邪魔をしないよう、ガラスの向こうから見守っていたアルバは、隣に立つブランにそっと目配せをした。 「ブラン、見て!」  ブランは生真面目に頷き、小さく呟く。 「……交尾が確認されました」

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