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第3話
「千晶さんのタキシード姿、本当に素敵で披露宴の最中もずっと見惚れてました」
空になったシャンパングラスが敏也の手によって直ぐに満たされる。
「と……、高橋様もとても格好良かったですよ」
「敏也、と呼んでください、千晶さん」
つい、名前を言い直した私に彼がやんわりと指摘する。
「僕は年下だし、結婚式も終わったから客でもありません。今は貴方を愛する一人の男です」
バスローブの上からそっと太ももに手を置かれて私は微かに震えてしまった。
「千晶さんのこんな姿を拝める日が来るなんて思ってもみなかった。いつもの洗練されたスーツ姿も麗しいけれど、湯あがりの貴方はとても魅力的だ」
歯の浮くような台詞をすらすらと諳じる敏也に、どんな態度を取ればいいのか戸惑ってしまう。俯いてだんまりを決め込む私に「千晶さん?」と敏也が顔を覗き込んできた。
「どうしました? やはり僕とこうなるのを早まったと……」
「そ、そんなことはっ」
思わず大きく否定して彼の手が太ももから離れてしまった。
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