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第4話

「その……、なんと言うか、君がいつもと様子が違うから……。何だか、浮かれているというか……」 「浮かれているように見えます? そうだな、とても嬉しいし、楽しいけれど人生で一番に緊張してる。だからいつもよりも喋っていないと恥ずかしくて死にそうなんです」  それにしても甘いシャンパンなど足元にも及ばない台詞は私を確実に酔わせていく。 「友人達が『あんな美人、どこで捕まえたんだ』って」  美人、になるのか。確かに私はタキシード姿とはいえ、新婦の代わりに彼の隣に立った。  敏也が自分のグラスにシャンパンを注ぎ、ひと口それを含んだ。 「皆が祝福してくれて本当に僕は幸せ者だ。まさか、ホテルのスタッフの方達も出席してくださるなんて。千晶さんは皆さんに慕われているんですね」  その殆どが空席となった披露宴会場を埋めたのは私と共にこのホテルで働く仲間達だ。本来ならキャンセルになるところを勝手な真似をしたにも関わらず、支配人まで参列してくれた。

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