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第7話

「あっ」  敏也はいきなり私の両の二の腕を掴むと強い力で私の体をシーツに押しつけた。その勢いに赤い薔薇の花びらが小さく跳ねる様が目の縁に捉えられた。  敏也の右手がバスローブの袂を割って入り込んでくる。胸に這わされた手のひらはしっかりとした肉厚で、何かを確かめるようにゆっくりと素肌を撫でた。同時に彼は残った手で髪をすき、顎先から首筋へと唇を添わせていく。  少しくすぐったい感覚に体が疼きながらも、この状況は望んだものではなくて私は思わず蠢く彼の右手を掴んだ。 「待って」  急に行動を止められて、敏也は私にのし掛かったままで顔をあげた。 「どうしたんです? 性急過ぎた?」 「あの、つかぬことを聴きますが、もしかして私を抱こうとしている?」  敏也は私の上でしばらく考え込んで、「そうですけれど……」  やはりそうなのか。押し倒された時点で薄々と気づいていたことが肯定されて私はひとつ息をついた。 「ちょっと離してもらえますか」  敏也は少し怯んでゆっくりと私から離れる。その顔は不安げで私も同じように不安な気持ちになってしまう。 「僕、千晶さんの気にさわるような事を……」 「いえ違うんです。確認したいのですが、男性の経験は?」

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