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第85話 高瀬

「いいじゃん。好きなだけイけば」 「そんな・・・」 相変わらず真っすぐで、 うっとりするような背骨を手のひらでなぞるとそれだけで可愛く啼いて、 その声に満足しながら膝立ちになった。 わざとゆっくり、 俺という存在が真乃斗くんのそんな場所からはいり込んでいく、 その淫らな感覚をまるで刷り込むみたいに、 もったいつけるようにしてねじ込んでいけばまた、 真乃斗くんは切なくて甘ったるい声をあげる。 「動いてってお願いして」 そんな台詞、きっといままでにもいつかの誰かに 何度か言ったことがあるような気もするけれど、 真乃斗くんに言ったのはまったく初めてだった。 今日の俺はどうかしている。 きっと終わりかけの夏のあがきと、 そのネツにやられたらしい、 いつもより甘ったるい真乃斗くんのせいだ。 もしかしたらいまココにいない、哲至のせいかもしれない。 「オクまで欲しいでしょ」 そんな俺の台詞にゴクリと真乃斗くんの喉が鳴って息が漏れると、 それと同時に繋がる入り口がきゅうっと俺を掴んだ。 その音に、そうしてその素直な身体の反応に、 勝手に愛おしい気持ちが増してしまってさらに真乃斗くんを煽る。 「ほら、身体は素直に欲しがってる」 「はぁ・・・」 本当はオク深くまで腰を振りたくて限界なのは自分の方なのに、 まるで余裕ぶってそんなことを言った。 「真乃斗くん」 言うまで耐える気でその愛しい名前を呼ぶ。 綺麗なカタチのケツを撫でると、繋がる入り口はまた、ヒクヒクっとした。 「っ・・動 いて・・・オクまで・・・・高瀬さんが欲しい」 自分が言えと言ったくせに、 不意の言葉にドクンとして今度は俺が喉を鳴らした。 だって・・・ ーー高瀬さんが欲しいーー きっと、真乃斗くんのそんな台詞も初めて聞く。 「真乃斗くん」 「高瀬さん・・・」 今日の真乃斗くんは・・・俺たち二人は・・・ やっぱり暑さに・・・きっと哲至に・・・やられたのだろう。 キスが出来ないのが残念だなと思いながら このあと気が済むまでキスをしようと思って、 そうして今日はあと何枚、 その薄いゴムを使うだろうと一瞬、無意識によぎって気持ちはさらに昂って、 あとはもう何も考えずにその真っすぐな背骨を見て、 そうして真乃斗くんの周りの空気ごと全体を見つめてから、 腰を振りだした。

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