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第95話 真乃斗

「ってかオレ別に 高瀬さんの出来すぎなとこがイヤだなんて言ってないよ」 「ん。そうだね」 哲至さんはいつも、どこか確信を言わない。 ぜんぶを知ってるって顔をしながらぜんぶを言わないのだ。 「カズさんの嫌いなところは?」 「そんなものない」 「は?なにそれ。さっきの台詞とチグハグすぎる」 「そう?」 それはまるでオレがソレを見つけることを知っていて、 それを自分が見つけたみたいにさせてくれてるんだって気がしてる。 それとも本当に何も考えていないのかもしれない。 まぁ、つまりはホントのホントのところはわからないってのが本当だ。 ただ・・・ 「ホント。オニイチャンはあの人を好きすぎるよ」 これだけは本当にそうだろうと自信を持って言える。 好きって気持ちをわざわざ自分から言ってるわけじゃないのに、 このヒトからはいつだって、 恋人を大切にしているというナニカが見えるのだ。 ーーー・・・ 「もっとイヤな高瀬さんが知りたいんだけど」 「っ、、なにそれ」 汗で髪が貼りつく額がやたら色っぽいことに、 きっと高瀬さん本人だけが気づいていないだろう。 はぁっとアツい息を吐きながらどこか呆れて、 おまけに少し困ったような高瀬さんのその顔が、 いまの状況とチグハグすぎて、そのギャップにすらもドキッとする。 「医者で二枚目でおまけにセックスが上手くたって、 どっかダメでイヤなヤツなところもあるでしょ?」 オレは唇を尖らせる。 「そんなもの、有りすぎるほどあるよ。 ってかこの状態でなんで急にそんなこと言い出すの?」 ベッドの上で股を広げて、 ソコにアツい高瀬さんを感じながら笑った。 まるで余裕ぶって、 わざとその入り口に力を入れてオクに届く高瀬さんをぎゅうっと掴むと、 高瀬さんが低く響く、艶のある声を漏らす。 「なに?今度は煽ってんの?」 いつもは優しい高瀬さんの瞳の奥にネツを感じると、 そのまなざしにもまた、ドキリとする。 「すぐに寝ちゃう自分が好きじゃない」 高瀬さんの背中に腕を回して、汗で濡れる背中を引き寄せる。 「そんなのどうだっていいし、それが真乃斗くんだよ」 すると、高瀬さんはオレよりぎゅっとオレの身体を抱きしめてくれた。 「変わろうとなんてしなくていい」 そう言って、今度はキスをしてくれる。 「ん。きっとそう言われるだろうと思った」

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