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第4話
#勇吾
来年の2月に行われる定期公演に向けて、俺は、夜もなかなか自宅に帰れない日々を過ごしていた。
小さな劇場で行われるこの定期公演は、言わば…俺のライフワークだ。
シェイクスピアの劇を毎年俺が演出を付けて公演してる。
今回は、マクベスだ。
そういや…シロは、マクベスを読んで、怖い奥さんの話だと言って顔を歪めてた。
確かにそうだ…ふふっ!
劇場は使い慣れた場所だし、照明器具も使い慣れてる。
ただ、役者が毎回違うから…そこだけ、毎回、骨を折るんだ。
固定の役者を囲う事は簡単さ。
でも、それじゃ…面白くないだろ?
舞台は生もの…その時々で違って当然なんだ…
毎年、上出来なマグロが取れる保証なんて無い様に、毎年、上出来な公演を送れる保証なんて無い…
だから、面白いんだ。
この張り詰める緊張感と、先の見えない状況が、俺にとったら程よい感覚なんだ。
安定…なんて、糞くらえなんだよ。
PCで脚本を読み込む俺の元に、1通のメールが受信された。
夜の11時…こんな夜更けに、仕事の件ではない事はすぐに分かった。
こっちの人間は就業時間にシビアだからね…
「はぁ、またか…」
メールの送信者を見た俺は、項垂れて髪をかき上げた。
3匹の猫ちゃんが…再び、俺にメールを寄越した。
添付ファイルの付けられたメールを開けぬまま、震え始めた携帯電話を耳に当てた。
「もしもし…」
「ボー君です…」
やっぱり…
ボー君の所にも、俺と同時にメールが送られてきた様だ。
「…勇吾さん、このメールは時間指定されて送信されています。それを証拠に僕の所に、朝の7時になったと同時に届いてる。つまり、彼は、次弾を装填済みなんですよ。きっと、これは、持ち球が無くなるまで続きます。」
冷静なボー君の指摘に頷いた俺は、開けずにいるメールにカーソルを当てながら聞いた。
「中身…見た?」
「…文章は同じでした。ただ、添付ファイルが違った。」
“シロの動画をこれ以上出すな…”
3匹の猫ちゃんは、チッパーズの編集が気に入らないのか…?
大好きなシロがタダで見られるというのに、あの子の広報をしつこく脅して来る。
そんなボー君の言葉を聞いた俺は、メールの上に合わせたカーソルをクリックして、内容を見つめた。
“シロはお前の物じゃない”
「…俺の所に来たメールも、昨日と同じ文章だ…。ボー君。今日、いいや…そっちだと、昨日の夜か…。歌舞伎町の店に、このメールを送信したであろう人物が来たんだよ…。桜ちゃんが煽って、挑発したのに、全然手応えが無かったそうだ。名古屋のヤクザで、体に入れ墨が入ってて、その中に3匹の猫が隠れているそうだ。この情報だけで…特定できる?」
動画ファイルの上にカーソルを合わせながら、電話口のボー君にそう尋ねると、彼は唸りながらこう言った。
「無理ですね。」
だろうね…
「でも…」
ん…?
「奥の手を使えば…この…動画の男を特定するのは、意外と簡単です。」
ほほ…!
そんな男前なボー君の声に口元を上げた俺は、ニヤニヤしながら身を乗り出して彼に聞いた。
「どうやって…?」
「この男は、名古屋のヤクザです。きっとシロが住んで居た地域にいた筈です。未だにヤクザを続けているとしたら…それなりに偉い人物になっている。そう、想定して…その地域のマル暴の情報を覗いて見れば、特定は可能です。」
警察に、ハッキングするってか…?!
乾いた笑いを浮かべた俺は、電話口に向かって言った。
「…足が付いても、俺は、助けてやれねえぞ?」
「足の付かない方法を知ってる…。」
ほほ!
ニヤリと上がった口角を指先で撫でながら、俺はボー君の算段を大人しく聞いた。
「名古屋のマル暴宛に、海外のPCを中継してメールを送信します…そこには特殊なプログラムが施された添付ファイルを付けてね。捜査員がそれを開いて、間接的にPCに手を加える事が出来れば…僕は、そのパソコンをリモートで操作する事が出来る。中を見る事も、消す事も、出来る。」
「あ~…あ~…俺は何も聞いてないぞ…。何も、聞いてない!じゃ、そいう事で!」
ボー君の犯罪を聞かない振りした俺は、彼との電話を切って、カーソルを置いたままの動画を再生させた。
すると、すぐに、ボー君からチッパーズ宛に届いたメールが転送されて来た。
彼は、なかなかどうして、仕事が早いんだ…
再生させた動画の中には、高級そうなすし屋で、向かい合う様に座った3匹の猫ちゃんと、幼いシロの姿が映った。
足をブラブラさせたシロは、首を傾げて、目の前の男を見つめている。
「どっちだ…?」
そう言って、3匹の猫ちゃんが、両手をあの子の目の前に出した。すると、シロは首を傾げながら相手の顔を見つめて、手をそっと握りこぶしの上に置いた。
「ふふ…違う…こっちだぁ…」
そう言ったあの子は、大きな握りこぶしの上に置いたちいさな手を隣の握りこぶしに滑らせて、クスクスと笑った。
「…どうして、分かった?」
大げさに驚いた様子を見せた3匹の猫ちゃんは、左の握りこぶしを返して、手の中から不気味なソフビ人形を出して見せた。そして、シロの柔らかい頬を摘んで顔を覗き込みながら言った。
「大当たりだがや…」
「…猫ちゃんの、眉毛が動くからぁ…」
シロはそう言うと、周りを取り囲む、直立する大の大人たちをビクビクしながら見上げた。
「へぇ…よく見てる…」
ソフビ人形を楽しそうに指にはめる幼いシロを、瞳を細めて見つめる3匹の猫ちゃんは、立派に極まった変態だった。
こんな変態の親分、俺だったら嫌だ…
「じゃあ…これならどうだ?」
そう言うと、3匹の猫ちゃんは、再び両手をシロの前に出して見せた。
そして、さっきと同じ様に差し出された握りこぶしに手を当てて、じっと顔を見つめて来るあの子の顔を見つめ返して、ニヤッと笑って言った。
「シロ…相手に手の内見せたらかんね。おまんが俺に教えたから、もう、この手は、俺に通用しなくなっただら?良いか?手の内は相手に教えるな。息をする様に感じて、息をする様に先を読め。そして…はったりをかませ。」
シロは目を丸くして、3匹の猫ちゃんの言葉に首を傾げた。
「はったり~?」
「そうだがや。知らなくても…知ってる振りしたらええ。ほうしたら、相手が勝手に教えてくれるだもんで、簡単に何でも聞きだせるじゃんね。ええか?手の内は明かしたらかんで?」
「…はぁい!」
何て会話だ…
眉間にしわを寄せた俺は、画面の中で足をブラブラと揺らすシロを見つめて、鼻からため息を吐いた。
「シロはねぇ…お寿司はぁ、赤いまぐろとぉ…白いイカを食べるの。」
今は、お腹を壊すから食べれないのに…幼い頃は、シロも生ものが食べられたのか…
そんな余計な事が頭の中をよぎった。
「ほうか…じゃ、それを頼もか…」
自分の指を眺めるシロを舐める様に見て、3匹の猫ちゃんがそう言った。
まるで、懐いてるみたいに…画面の中のシロは、もう、この男を怖がっている様子は無かった。
可愛い笑顔まで見せて、楽しそうに会話をしてる。そして、3匹の猫ちゃんは、そんなシロの様子を、嬉しそうに目じりを下げて見つめていた。
「兄ちゃんはねぇ…ウニが好きなんだってぇ。でも、シロは、食べられない。」
「なんでぇ…?」
「だって…変な味がするんだもん…」
「そりゃ、おまん…本当に美味いウニを食った事がないからじゃんね…」
「ふぅん…」
それにしても…なんなんだ…この動画は…
ただ、ひたすら…淡々と、おっさんと幼児の会話を映している。
「ねえ…お巡りさんは強い?」
そんな子供の言葉に、周りに立っていた大人が動揺すると、3匹の猫ちゃんはにっこりと笑って言った。
「…俺の方が、強いだがや。」
「ふぅん…」
シロは興味無さそうにそう言って、自分の前に置かれたお茶を両手で掴んだ。
中を覗き込みながら息を吹きかけるあの子に目じりを下げた3匹の猫ちゃんは、片手であの子の湯のみを取り上げて、空いている湯飲みに注いだ。
「あ~…!」
「たわけっ!こうして冷ましたってるんだぎゃあ!」
3匹の猫ちゃんは、そう言いながらシロを見つめて笑った。そして、ふたつの湯飲みを行ったり来たりさせて、お茶を冷ましていた。
「もう…良い?」
「まだ、ちんちんでかんわ…」
なんだ…この、動画…?
名古屋弁を全開にしたおっさんが、よだれを垂らしながら、甲斐甲斐しく幼児の世話を焼く…玄人の動画だ…
こんなものを添付して…見せて…何がしたいんだ…?!
「猫ちゃんは、悪い人…?」
そんな子供の言葉に、周りに立っていた大人が動揺すると、3匹の猫ちゃんはにっこりと笑って言った。
「そうだがや。俺は悪い人じゃんね!」
「ふぅん…」
生返事を返して足をブラブラさせたシロは、3匹の猫ちゃんと話すのが、つまらない様子だ…露骨すぎるほどに顔を逸らして、立ち並ぶ大人を見上げて首を傾げている。
「へい、おまち!」
「わぁ…!!」
目の前に置かれた赤と白の寿司に瞳を輝かせたシロは、両手をテーブルの下に入れて、もじもじしながら3匹の猫ちゃんを見つめた。
兄貴の躾が良いのか…料理が揃うまで、先に食べてはいけないと思ってるみたいだ。
「なんだ。シロ…。はよ食べりん。」
「ん、でもぉ…」
そんなシロを瞳を細めて見つめて、おもむろにイカを箸で掴んだ3匹の猫ちゃんは、あの子の口に運んで言った。
「ほら、食べりん…」
「ん…あぁ…」
小さな口は、幾ら大きく開いても、大きなイカを一口で食べる事が出来なかった。
すると、3匹の猫ちゃんは、何のためらいも見せないで、あの子の口からはみ出したイカの寿司を半分かじって食べた。
…通報案件だ。
こんな事、幼児にしてたら、通報案件だぁ!
それに周りにいる、こいつらは何なんだ!何で、だれも止めないんだ!
よくあるだろう?任侠映画で!
兄貴、もう…止めて下さい!って…!!
今が、そのセリフを言う時なんじゃないのか?!
俺はこんな変態の親分…絶対に、嫌だ!
「おい!半分に切っとくれん!こんなに大きなの、口に入らんだもんで、ちゃっと切っとくれん!」
シロの寿司を手に持って、3匹の猫ちゃんがお店の人にそう言った。すると、頭を下げながら店員が寿司を一旦下げて行った。
桐のテーブルに、上等なネタの乗った寿司…高級すし店である事は間違いない。
間違いなのは、こんな店に幼児を連れて来た…お前だ!
「ねえ?猫ちゃん。兄ちゃんも、お寿司、好きなんだぁ…」
シロが笑顔でそう言うと、3匹の猫ちゃんは目じりを下げてお店の人に言った。
「ほうか、なんか、ちゃっと…握りを握って、包んで持たしたれよ!」
「ヘイ…!」
変態のロリコンを…シロは、手玉に取った様だ…
シロの言葉にすぐにレスポンスを返す3匹の猫ちゃんの様子に、あの子は、満足そうに微笑んだ。そして、あの子は、あいつの大きな手のひらを、無邪気に自分の手に乗せて遊び始めた。
「美味しいね?猫ちゃん…」
「ほうか…良かったな…」
半分に切って貰ったイカとマグロの寿司を食べながら、シロは足をブラブラと揺らして、目の前で鼻の下を伸ばしながら寿司を食べる厳ついヤクザに笑いかけてる。
この光景は…ある意味、ロリータなんて映画を凌駕出来る程の、幼い無垢への首ったけっぷりを…表現してる。
「シロ…俺の事、好きか…?」
「ん、好き~!」
幼いシロは、無邪気にそう言ってケラケラ笑った…
「シロ…おいで?」
画面が突然切り変わった。
そこは、初めに見た動画と同じ様などこかのホテルの一室だ。
俺はすぐに動画のスクロールバーにカーソルを合わせて、動画の長さを測った。
長い…
また、最後までやるのを、見なくちゃ駄目なのか…
すると、笑顔でベッドの上に乗って来たシロの姿に、俺は項垂れて頭を抱えた。
あの子は、戦隊ものの絵の付いたタンクトップに、汽車に顔が付いた乗り物のパンツを穿いて、手を伸ばすヤクザの体の上に乗ってケラケラ笑った。
あああああ…!!これは、駄目だぁ…!!
俺の良識と、常識と、大人として持っている当たり前の価値観に強い衝撃が走った。
馬鹿!シロ…!
お前は、こいつに何をされてるのか、気付いてないから…こんな無邪気に笑って…!!
はぁ~~!バカタレっ!!
「猫ちゃん?この前…気もちい振りしたら、すぐ終わったぁ…。シロ、殴られなかったんだぁ…。でも、兄ちゃんが悲しそうだったぁ…」
そう言って顔を覗き込んでくるシロの柔らかい髪を鷲掴みした3匹の猫ちゃんは、あの子の顔を見つめて、わしわしと指先を動かしながらこう言った。
「ええじゃんね…。おまんの兄貴がどう思おうとええ。殴られなくなったし、早く終わったなら…それでええじゃんね。相手するのは、兄貴じゃない…シロ、おまんだら?だったら…おまんのええ様にしたらええだら?」
「…うん。」
眉を下げたシロは、そう呟いて、3匹の猫ちゃんの胸の上にクッタリと頬を付けた。
「シロ…舌を撫でさせたってよ…」
カメラが再び誰かの手に渡って、ベッドの上であおむけに寝転がる3匹の猫ちゃんと、その体の上に寝転がるシロを映した。
シロが口を開いて舌を出すと、3匹の猫ちゃんは嬉しそうに小さな舌先を指で撫でた。そして、あの子の小さなお尻を片手で掴んで、自分の体の上を滑らせて、あの子の唇に貪り付く様にキスを始めた。
この生活感の溢れるシロの下着は、アウトだな…
俺の…俺の…常識を返してくれっ!!
こんな世界、知りたくなかったぞ!!
「猫ちゃぁん、体の猫ちゃん…見つからない…」
自分の乳首をしつこく舐めるおっさんの顔を覗き込んでシロがそう言った。
すると、3匹の猫ちゃんは、体を起こして自分の刺青を見せながら言った。
「1匹目はここじゃんね…?2匹目は、後ろにいる…。」
「えぇ…?本当?」
笑顔になったシロは、体を起こして3匹の猫ちゃんの背中に回ろうとした。すると、あいつはシロの体をベッドに押さえつけて言った。
「見せんよ…」
「えぇ…?」
確かに…えぇ…?だな…
しつこく体を舐める3匹の猫ちゃんは、シロの体を大きな両手で押さえつけたままあの子のモノをペロペロと舐め始めた。
「ん…んん…はぁはぁ…猫ちゃぁん…」
「ん…?」
「この前ね…うちに来た…怖い人、シロのおちんちん、かじったぁ…」
シロのそんな言葉に、3匹の猫ちゃんは顔を上げて言った。
「いつ?」
「…金曜日」
「…ほうなんかや。そら、えらいな…」
すると、体を起こしたシロは、自分のモノを手で摘んで、噛まれた所を指さして言った。
「切れちゃう所だった…?」
「そんな事、あらすか…どら…」
あの子の指さした部分を舌で舐めた3匹の猫ちゃんは、そのままあの子のモノを口の中に入れて音を立ててしゃぶり始めた。
「ん…はぁはぁ…んん…泣いたら…いっぱい殴られたぁ…痛かったぁ…!」
3匹の猫ちゃんの髪を鷲掴みしたシロは、泣きながらそう言って、大きな背中に両手を這わせた。そして、まるで、抱きしめる様にあいつの背中に頬を乗せて、快感に顔を歪めて喘ぎ声を出し始めた。
エロい…
普通に…エロい…
「ふっ…はぁはぁ…ん、あっああ…ん…気もちい…猫ちゃぁん…あっ…んん…」
こんな声…子供が出すのか…?
それとも、シロだからこんなにエロイのか…
舌なめずりしながら体を起こした3匹の猫ちゃんは、惚けたあの子の唇にねっとりとキスして、シロと、そのまま体をベッドに沈めて行った。
「気持ち良いの…?」
「ん…気もちい…きもちい…」
初めの動画と比べて、シロは3匹の猫ちゃんを受け入れた様に、あいつが寄越す快感に素直に溺れていた。
6歳なんて年齢を感じさせないエロさは、きっとこの子が醸し出す雰囲気のせいだ。
だらしなく開いた口からはよだれがこぼれて、うっとりと、潤んだ瞳はトロけた様に虚ろだ。そして、何よりも…喘ぐ唇が…可愛すぎるんだ。
ヤバいな…勃起しそうだ…
児童ポルノを見て興奮するなんて、誰にも言ってはいけない事だな…
愛おしむ様に小さなシロの髪を撫でて、惚けたあの子に何度もキスをした3匹の猫ちゃんは、あの子の下半身に手を回した。そして、シロの表情を見つめながら、ゆっくりとあの子の中に指を入れ始めた。
「…シロ、痛い…?」
「はぁはぁ…ん…はぁはぁ…!」
首を横に振って必死に違和感を堪えるシロに、3匹の猫ちゃんは何度もキスをして言った。
「ここは…?」
「あっああ…!やらぁん…らめぇ…んんっ…おちんちんがいたぁい…!」
精通がまだなシロは…快感を吐き出す事が出来ないみたいに、苦悶の表情を浮かべて3匹の猫ちゃんに抱き付いた。そして、あいつの胸の刺青をペロペロ舐めながら、下半身に感じる違和感を紛らわした。
「ここ…気もちいだら?」
細い太ももをヒクヒクと震わせるシロの足の間に腕を固定した3匹の猫ちゃんは、あの子の顔を見つめながら、執拗に…裏筋を撫でて、あの子の中で、指を擦る様に動かした。
「わ…分かんなぁい…んん、ムズムズするの…やらなのぉ…」
小さな手のひらを3匹の猫ちゃんの頬に当てたシロは、へらへら笑うあいつに舌を伸ばしてペロペロと、キスをした。
「猫ちゃぁん…あっああ…猫ちゃぁん!はぁはぁ…あっあん!」
あいつの頭を両手で抱きしめたシロは、口からよだれを垂らして、快感に狂ったみたいに…喘ぎ声を上げた。そして、足を開いて、しがみ付いた3匹の猫ちゃんの大きな体に向かって、ゆるゆると腰を動かし始めた。
リミッターの外れたシロ、そのまんまだ…
快感に溺れたあの子は、よく、こうなる…
本人は、これを…真っ白になって行くなんて表現してる。
抱いてる方からしたら…こうなったあの子は、可愛い以外の何物でもない。
ただひたすら、快感だけを求めて来るんだ…
そんな、なりふり構わなくなったシロの乱れた姿は、悩殺を通り越して…このまま一緒に死んでしまっても良いと思ってしまうくらい…官能的なんだ。
きっと…桜ちゃんも、そう思ってる筈さ…
「おぉ…シロ、よどが…あっはっはっは!」
あの子の乱れっぷりに、3匹の猫ちゃんは満足そうに笑った。
あいつは、自分の体にしがみ付いて来るシロをベッドに組み伏して、あの子の足の間に体を入れて、十分に勃起した立派なモノをシロに見せながら言った。
「シロ…?俺の欲しいだら~?」
「ん、やぁ…!指が良いのぉ!指が良いのぉ!」
シロのそんな雄叫びに、俺は顔を背けて…眉を下げた。
「勇吾ぉ!もっと…もっと来て!止まんないでぇ~!!」
そう言って俺の背中に歯を立てる…あの子の姿に重なったんだ。
「い、いたぁい…ん、やぁだぁ…!」
「なんだ…すぐに良くなるだら…?おまんは俺のちんちんが大好きだもんで、すぐに気持ち良くなるだらぁ?」
小さな体の奥まで挿入させるように、3匹の猫ちゃんは、自分の腰をあの子の股間に突き出しながら笑った。
「あぁあっ…!んん~~~!!」
違和感に苦しむシロを尻目に、細い腰を両手で掴んだあいつは、ねっとりと上出来な腰使いをして、あの子の中を動き始めた。
「あぁ…きっついわ…。シロ。足、俺の肩に乗せりん…」
そんなあいつの言葉に、シロは震える足を持ち上げて、あいつの胸を足の裏で撫でながら肩に足を掛けた。
はぁ、この子は…いちいちエロイんだ…!
「ええじゃんね…どエロい。おまんは、本当…可愛いだがや…」
その言葉に同意する…
シロは…もはや、この男とのセックスを、楽しんでる。
育った環境のせいなのか…それとも、この子の資質なのか…
ナイスバディのマグロの女よりも、断然良い動きと、エロさを見せるんだ…
「猫ちゃぁん…好きぃ…好きぃ!」
両手を伸ばしてシロがそう言うと、3匹の猫ちゃんは、うっとりと瞳を細めてあの子の体に覆い被さりながらキスをして言った。
「シロ…俺の事が好きなのか…」
「ん、好き…!好きぃ!」
下手なラブロマンスより…安っぽい大人の恋なんかより…
目の前で、肉欲に溺れる幼児と…そんな未熟な相手に…愛を求める、この大人の構図が…俺の感性に響いて震えて、胸の奥に消化不良のモヤモヤを巻き起こしていく…
なんだ…この気持ちは…
綺麗な様で、汚くて…美しい事なんて何もないのに、このふたりから…目が離せない。
背徳感を上回る…官能の極みだ。
俺の感性が小児性愛を無駄に脚色しているのか…この行為自体…ギリギリなんだ。
これ以上…言葉で言い表す事は、自殺行為かもしれない。
…消されるかもしれない!!ヒェッ!
動画を見終えた俺は、胸を揺さぶる小説でも読んだ後の様に、得も言われぬ感覚に襲われた。
満足感でも無いし、充実感でもない、ただ、人間の新しい一面を知った。
人は…感性に響いた物にひれ伏すんだ。
それが…たとえ、幼児でも、動物でも、建物や、自然にでも、だ。
この男の場合は、シロの官能的な姿に…感性を揺さぶられて、鷲掴みされて…虜になった。
「ねえ、シロ…?マクベスの奥さんも、お前の様な魅力を持っていたから…旦那を唆せたのかもしれないね…?旦那にとったら、そんな者の言う事を聞く事なんて、息をする様に当然なんだ…。疑いもしないし、否定もしない…。愛してるから…迷う事も無いんだ。」
素晴らしいじゃないか…!
俺は自分の書いたマクベスの脚本のデータを開いて、悪妻として表現されるマクベスの妻の脚色を変えた。
周囲の目には、彼女がマクベスを唆している様に見えても、実の所は…愛する妻に傅いた、最高の…愛妻家の話なんだ。
「あ~はっはっは!こりゃ、傑作だ!」
道徳や、人の道なんて…誰が決めた…?
誰の得で…誰の損だ…
それは、個人に当てはめて考えるべきものなのか…?
愛する者の言う事を聞く事の…どこが悪いんだ…
傅いて、言いなりになって、守られて、愛されて…求められて、甘えられるのだから、最高の幸せじゃないか…
それは、俺の得意とする…原作を土足で踏み荒らす様な、改編だ。
「実に人間らしい…汚くて…美しい!このマクベスは、炎上するぞ!はっはっは!」
上機嫌でパソコンに向かって脚本を直していく。
この方が…断然イケてる内容だ…
痺れるじゃないか!
夢中になって忘れてしまわない内に、俺は桜ちゃんにふたつの動画を転送した。
そして、煙草に火を付けて、腕まくりをしながら…脚本の変更を書き続けた。
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