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4.伊藤 宗壱(宗壱✕理宇)

 シャワーチェアに座らせて、頭からお湯をかける。ふわふわの触り心地のいいクセ髪がぺちゃんとして、大型犬っぽくなる。 「りう、可愛い」  髪を洗い、そのまま洗顔フォームを泡立てて、手のひらで彼の頬を包む。理宇は顔のパーツが大きくはっきりした、愛嬌たっぷりの男前だ。  つり気味の二重の瞼をギュッと瞑ると、たれ気味の眉が強調される。長いまつ毛にホイップクリームみたいに泡が載る。 「大好き」  オレの語彙力が崩壊する。  耳殻をそっと撫でて洗う。キツく結んだ薄い唇が、何か言いたげにムニムニと動く。 「ふふ、可愛い」  顔の泡はそのままにして、オレは浴室の床にひざまずく。片膝に理宇のかかとを載せる。足の爪から一つずつ、足裏を、走り込んで細く締まった下肢を、ゆっくりと両手で洗い上げていく。  とっくにおへそに当たるほど勃った、理宇の中心。オレの指の動きと荒い呼吸に、ピクリ、ピクリと敏感に反応する。ピクリに合わせて、その色が赤く黒く育っていく。  グロテスクな臓器だな、と思う。臓器な上に凶器なのに、理宇のモノは愛おしい。 「りう、ダメ。オレが洗うから」  我慢できなくなった理宇の利き手が、自分を慰めようと下半身に伸びてくる。ペチッと叩いて阻止。 「触って。アソコキツイよ、目痛い、石鹸マズイ」 「ごめんごめん」  ペッペッと泡を吐き出す幼い仕草の舌を、チロッと舐める。シャワーで天辺から泡を流す。桃の香りの洗顔料は、確かに苦い。全然甘くない。  悪戯な左手の中指と薬指を、根元から咥えて拘束する。切望するように潤む両目をひたと見据えながら、オレは執拗に指に舌を絡め、吸い、ねぶる。いつもしてるフェラみたいに。  右腕も確保して撫で回し、その筋肉を同時に堪能しながら。 「そーいち、ソコじゃないぃ、違うぅ……」  理宇のカラダは理宇の努力の成果だから、理宇そのものだから。可愛くてしょうがないし、全部を触りたいって気持ちが溢れて止まらない。  黒歴史というか、若気の至りなんだけどね。両想いになって、キスして互いを触りあった中一の段階で、両方の家族に律儀に報告と挨拶した。強い決意のつもりで、浮かれて嬉々として。  そしたら、同性の中学生同士がお付き合いしていく条件を突きつけられた。薔薇色脳のお花畑だったオレたちが予想してた以上に、色々と。  理宇の年の離れたお姉様、理華さんに言われた。 『性癖がマイノリティなんだから、他はマジョリティでいること!』って、満面の笑顔で。  友達たくさん作りなさい、文句つけられないほど成績上げなさい、体鍛えてオシャレに気を使って、目に優しいイケメンカップル目指しなさい。二人きりの世界に籠もらないで。 『原の名字を継ぐのは、私の結婚相手次第。でも、原家のお墓と両親の老後は、私が面倒みてあげるから!』  理宇はあれから四年間欠かさず、登下校中に途中下車して数駅走り込んだり、オレ父の元寝室を改装した家庭用筋トレルームをマメに使ったりしてる。  家族愛にちゃんと愛で応える理宇、努力する理宇、カッコ良くてたまらなく好きだ。 「りう」  可愛い大好きが振り切れて、洗う作業を放棄する。チェアに座ったカラダをギュギューっと抱きしめる。 「あ、ちょっ、それ……ヤバい。わっ、そーいち、ダメッ」  理宇が暴発した。  午前中から耐えてた雄の性欲が、脚の間に差し込んだオレの腿と理宇の硬い腹に挟まれて。  とろりと熱く、二人の隙間に塗り広がる。青い匂い。 「早っ……最悪、恥ずかシヌわ」  胸に照れ顔を埋めて悶えてる。可愛い。  頭を抱き込んだまま、うなじから背筋までツツーっと爪を立てる。上半身を揺する。  今度は、オレの薄い腹と理宇の胸板にオレ自身が擦られて、ぬち、ぬち、といやらしい音を立てる。 「オレも、イキそう」  真っ赤な耳たぶに小さく囁いて、わざとため息を吹きかける。 「ヒドイ。挿れてよ」 「ひ、痛っ」  胸の一番敏感な部分を、ガジっと噛まれた。慌てて腕を解く。作業を残した上半身を手早く洗って、ぬるつきも流す。  床にペタリと正座して、理宇に手を差し伸べる。 「ナカも洗お。おいで」

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