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6.原 理宇(宗壱✕理宇)
宗壱が俺の目の前で、仁王立ちで自らを慰めている。
欲しくて欲しくて、でもお預け。さっきその指で愛してくれた括約筋が蠢く。早くその陰茎で俺の奥まで塞いで、と涙目だ。
でもそれ以上に、俺の名を低く呼びながら快感に溺れる彼の妖艶さに、尾骶から喜びが這い上がる。俺の唇を動かなくする。
あー堪らなく綺麗だ。
濡れた黒髪から、水滴が躰の輪郭を這って落ちる。大金を掛け手入れの行き届いた肌は、吸い付くように滑らかだと知っている。粗野なはずの男性生殖器官ですら、パンと張って反り返る造形美。陰一つないピンク。
これが、いつも俺の中に。
「宗壱……したい……」
「ん、だーめ」
華奢な指の動きに釘付けの視線を、頑張って上に逸らす。浴室の床に座り込んで、恋人を見上げる。彼の黒い瞳は肉食獣。獲物を前にタイミングを計って、捕食を耐える目だ。
そう、耐えているんだよ、俺のために。宗壱を見ることで、俺が一番欲情するから。意地悪じゃない。この自慰は優しい愛撫。
凄くないか。振り切った深い愛情表現。
まあ、俺が変態だと皆さんに思われても、仕方がないよね。塾の無機質な教室で初めて出会ったその時から、品のある姿に、隙きのない所作に、柔らかい声に、夢中になったんだ。成績順で真後ろの席に座れた週は、ずっと見詰めることが出来て幸せだった。席の確保ために必死で勉強した初恋の日々。
これが性的な愛だとは、直ぐには気づかなかったけれど。
「は……あ……理宇、り、う……っ」
宗壱が俺の名を呼ぶ。いつも繋ぐ左手を今は根元に添えて、スッと長い幹を忙しく扱く。丸く大きめの亀頭がもみくちゃにされている。人工的な果実の香りの中に、先走りの性の匂いが混じる。
筋の薄い陰茎が、更にズンと大きく張る。来る。そう思って、咄嗟に口を開けた。
呻く声と一緒に吐き出された精液。予想より濃く重く、俺の左肩に散る。とろり。胸筋に流れていく。
「ふふ、マーキング」
宗壱はしゃがんで、間抜けに開いた俺の唇に、ちゅっ。涼やかな顔が、至近距離でにっこり微笑む。右手で白濁を俺の胸に擦り付けながら。
マーキングなんていらないのに。この時、というかそもそも根本的な話として。宗壱が俺を縛っている、なんてマイナスなことを、考えたことは無い。
俺は自分の意志で宗壱の隣にいる。たとえ宗壱が嫌がったとしても、粘って粘って何としてでも一緒にいたい。深く思い巡らすのは彼の性格だから、どうしようもないけれど。
乳首をねちねちと弄びながら、宗壱が耳元で囁く。俺を限界以上に煽る。
「りーう、ね、ナカで出していい?」
ああああああもう! 声変わりしてイケボになりやがって。くそっ! ばーか、大好きだ。
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