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第7話

俺が離れるとガイ少将は気を失ってしまうので、まだ目覚めたばかりで曖昧な状態の少将の側に俺だけを残して、全員病室を引き上げてしまった。 ベッドの中から目を開けたままボーッと天井を見ていた少将は、俺の気配に緩慢な視線を向けて来る。 「分かります?」 顔の前で手を振ると、少将はゆっくりゆっくり頷いた。 反応がいい。これなら大丈夫だ。 一旦手を離して冷蔵庫から飲み物を出して、皿に移して脱脂綿に含ませる。それを唇に当ててやると、少将はすうっと唇の合わせ目から水分だけを吸い込んだ。 ……エロ。 普段仕事で気にもせずやっている事がこのイケメン少将相手だと妙にエロい。 肉厚な唇に滴った雫を舌先でチラリと舐める仕草がエロい。 しかし問題なのはうっかりと手を放してしまう事で、ちょっとでも触れている手が離れると少将は気絶してしまうのだ。動きを制限されるのは厄介で、トイレはどうしたらいいんだろう。 そんな事より俺と離れたら意識を飛ばすなら、対魔団を率いるこの少将が出陣出来ない。 国家を上げての大問題だ。 万が一俺まで戦場に駆り出されるなんて事になったら更なる大問題だ。 そしておっぱい。 この美の神に愛された美形顔で男の色気を垂れ流す人におっぱい。 大いに大問題だ。 その日の夕方には特別任務と称したガイ少将の完全看護担当が書面で通達されて、俺は朝から晩まで休み無しの介護人にされてしまった。 症状は魔力枯渇とある。 枯渇した魔力を自分で補えるようになるまでの、二十四時間魔力補給が主な仕事だ。

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