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第14話

そして翌朝目覚めた時からとんでもない気怠さに襲われて、魔力切れだ。 前回補充して貰ったのはいつだったっけな。 パジャマ姿で黙って俺を見つめる緑の瞳に、軟弱者がと責められてる気がする。少将の方は窓から差し込む朝日に黒髪を艶めかせて、肌なんかも艶々でそりゃあもうスッキリ爽やか。よく眠れたらしい。 そして充電出来たのかというと、実験は失敗だった。寝ている間に流し続けた微弱な魔力はそのまま消費されて蓄電が出来ないのか、それとも元々の魔力の器に差があり過ぎて俺の魔力量では少将を満たす事が出来ないのか、とにかくこっちが枯渇する。 俺たちが離れるにはやっぱり少将の枯渇した魔力が戻るよりは他に無い。 「すみません、うちの大佐を呼んでください」 ベッドから起きる事も出来ずにクラクラする頭を両手で支えて唸ると、少将はうーんと渋い顔をする。 「私が満ちてもセレスが枯れるのは困る。私達は二人とも万全でないといけない」 そんな事より大佐を呼んで欲しい。 「……死ぬ。大佐を……」 「いや、もしかして……」 ふと何かを思い付いたらしいガイ少将が呟くと、少将と繋いでいた手が急にほわっと温かくなり、温かな魔力が流れて来たのが分かった。 これ……。 「こちらから流せば問題無いだろうと思って」 視線を上げて少将の顔を見ると、唇がやんわりと弧を描いて俺を見た。 ただ触れているだけでは魔力は流れず、あげるという意思が必要だ。 つまり今まで受け取る一方だった少将が、今は意思を持って俺に魔力を流している。 「や、無理です。そんな事をして万一少将まで魔力切れになったら、二人揃って動けなくなってしまうじゃないですか」 しかし受け取る側が拒否しても、それは通じず流されるまま受けるしか無い。枯渇している身体は生存反応に従って、欲しくなくても生きるために受け取ってしまう。 「上手く行けば相互補充可能で、今後大佐を呼び出す事も無くなる。まず試してみよう」 それはそうだけど、もし俺が少将に何かあったら。例え僅かでもガイ少将を脅かす事は、俺には許さないのに。 しかしぞくっと背筋に痺れが走り、甘く解けて力が抜ける。 ヤバイ。 この感覚はヤバイ。 温かな魔力に対抗出来ずに、身体が勝手に吸収してしまう。 慄きながら魔力吸収を止められ無い俺の手を掴んだまま、少将は穏やかに微笑んでいる。 「……大丈夫だ」 本当にそうなんだろうか。 やがて俺の身体が体温を取り戻した時、流れてくる魔力が止まった。 「はぁ……」 自然と出たため息に少将が笑う。 「相互交換可能な事が実証出来たな」 「ばっ……!」 か。なんじゃないだろうか、本当にこの人は。 「これなら大佐を呼ばなくてもいいだろう?」 そりゃそうだけど。 しかしこの場合は大人しく礼を言うしか無いわけで。 「ありがとうございます。でも本当に少将は大丈夫なんですか?」 問題無いと言い切る少将に疑問が残る。 枯渇している泉には流れる水が無いのに、僅かばかり注がれた水を返してしまっては乾く一方。 しばらく少将の様子を見ていたけれど、特に変化は無いようで……。 どうなっているんだろう? 俺は首を傾げながら隣でおっぱいに晒しを巻く少将を眺めていたのだけど、ふと気付いた。 おっぱいが小さくなっている? まさか。 目を疑ったけれど、カーテンの隙間から差し込む一筋の朝日を受けたおっぱいが、白く輝く美しい魅惑のおっぱいがわずかに小さくなっているのだ。 「少将、そのおっぱい」 「見るなよ」 「あ、すみません」 ちくしょう、凄い事に気付いたのに、部位が部位だけに変態だと思われそうで言えない。

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