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第20話

午後になって対魔団の訓練に合流する。 対魔は広い闘技場で剣の訓練でもしてるのかなと思ったら、青空の下、掌に溜めた魔力の玉を動く的に向かってバンバン狙い撃ちしていた。その横では数人が魔力を練り込んだ網を編んでいて、魔物を捕獲するのだろうか。 手を繋いで歩く俺達に好奇の視線が絡むけど、まぁどこに行ってもそんなもんなのでもう慣れた。事情を知ってる対魔の人達でさえそうなのだから、気にしたって仕方ない。 「君もやってみる?」 ガイ少将に着いて射撃訓練中の団員を一人一人見て回っていると額に汗した団員に声をかけられて、攻撃魔法が苦手な俺は戸惑ってしまう。 そもそも対魔団は兵士の中でも魔力特化の人達しか入れないエリート集団なのに、そんな所に凡人の俺が混ざっても笑われるだけに決まってる。 「そうかな?ガイ少将専属治癒者なのは凄い能力があるからなんじゃないの?」 そんな風に見られてるとは知らなかった。 「期待外れですみません」 ガイ少将におっぱいが出来てしまったので、再生をミスった張本人の俺が自分の尻拭いをしているだけなんです。そこには再生の時に大量の魔力を注ぎ込んだので、少将の魔力が俺色に染まってしまって相性が抜群にいいという理由も……そこまで考えて、あれっと思った。 ガイ少将の魔力が俺色に染まる? 「ガイ少将、俺ちょっと離れてもいいですか?」 「どうした?」 「気になる事があってクライル大佐に今すぐ会いたいんです」 再生の時にガイ少将の魔力を変えてしまったとしたら、これまでと勝手が違って上手く発動出来ないんじゃ無いのかな。もしくは、俺の魔力じゃガイ少将という器に不釣り合いだとか。 とにかくクライル大佐なら何かしら考えてくれるかも知れない、なんたって治癒の偉い人だし。 そう思って気が急いているのに、少将は首を横に振った。 「向こうは昼前に帰って来たのだから、きっと寝ている」 そうだった。 夜勤明けの人は起こしても起きないから、行っても無駄かぁ……。 思わず爪を噛むと横顔に視線を感じて、そちらを見ると薄い頬を不機嫌に引き結んだガイ少将の美形顔があった。 「行こう」 「あ、はい」 なんで急に不機嫌?

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