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第2話 玉体ですか?

1ー2 玉体ですか? 「よいか、連太郎よ。お前は、ただ心身を清め、その時に備えるのじゃ!」 「はい」 俺は、神妙に頷いた。 いくら雪国じゃねぇっていっても、2月の早朝に薄い衣1枚で地面に裸足で正座って、きついんだよ! もう、足も手も、感覚がなくなってるし。 俺は、さっさとすませて家に帰って、暖かい風呂に入りたかった。 「わかれば、よいんじゃ」 じいちゃんの許しが出たところで、俺は、感覚のなくなっている足でなんとか立ち上がると、滝の中へと入っていった。 水は、身を切るほどに冷たくて、俺は、一足ごとに震え上がっていた。 だが、仕方がない。 俺は、目を閉じて一気に滝の下へと入った。 もう、冷たいとかいうよりも、痛い! まるで、固い木刀で全身を打たれているような感覚に、俺は、歯を食いしばった。 全身が冷水に濡れそぼり、白い衣が体に張り付いて透けている。 俺は、痛みと冷たさに一瞬、意識が飛びそうになる。 ヤバい! 思ったときには、もう、遅かった。 俺は、滝壺へと足を滑らせて水中へと落下した。 く、くるし・・ 俺は、水中で息ができずにもがいた。 なんとかして水面へ出なくては。 だけど、焦れば焦るほど、衣が体にまとわりついて、思うように泳げなかった。 「ぷはぁっ!」 俺は、やっとの思いで浅瀬にたどり着き岩に掴まって岸辺へと這い上がった。 息を喘がせている俺の視界に、白い影が見えた。 「よく、無事にお出ましくださいました、聖母様」 はい? 目を擦った俺の前には、数人の白いローブ姿の男たちがひざまづいていた。 「・・じぃちゃ?・・」 「大丈夫でございますか?聖母様」 男たちは、俺の体を水の中から引き上げた。 「じいちゃん、は?」 俺は、目の前の男を見つめた。 そいつは、とにかくキレイな男だった。 長い銀髪を背で1つにまとめた中世ヨーロッパの騎士のような服装をしたその若い男は、どこまでも澄みわたった青い瞳で俺を見つめていた。 なぜか、全身がぞくぞくした。 まずい! 俺は、かろうじて全身を覆い隠している濡れた衣を脱ごうとした。 俺、風邪をひきそうになってるんだ! 早く、この衣を脱いで体を暖めないと。 俺が、衣を脱ぎかけたとき、その場にいた男たちがざわめいた。 なんだ? 俺がそっちに気をとられた瞬間に、俺の目の前にいた男が自分の身に纏っていたマントを俺の体に被せて、俺を抱き寄せた。 ふわっと温もりに包まれる。 全身がじんわりと痺れるような感覚 がした。 その男は、俺の冷えきった体を抱き上げるとあろうことかこの俺をお姫様だっこして歩き始めた。 「えっ?」 俺は、焦って、手足をバタつかせた。 「ちょ、待って、下ろせって!」 「ダメです」 その男は、深く染み渡るような声で俺に囁いた。 「この玉体にもしものことがあれば、我々は、みな死なねばなりません」 ええっ? 俺は、耳を疑った。 玉体? なんですか、それ?

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