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第9話 頼まれても困ります!

1ー9 頼まれても困ります! 「ほう、イーサンから聞いたのか?」 グーリス老人は、興味深げに俺に訊ねた。 いや、ぜんぜん、面白い話なんかじゃねぇし! 「ここがもといた世界とは違う世界だってことと、俺がこの世界の神の使いである神子を育てるために召喚されたってことは、きいた」 俺は、憮然として答えた。 そうか、と満足げに頷くと、老人は、話し始めた。 「この世界は、お主のいた世界と表裏一体となっておってな。神子は、この世界を守り、均衡を保つために必要な存在なのだ。もしも神子がいなくば、この世界の深い闇の中に封じられた怪物リヴァイアサンが目覚め、この世界も、お主のいた世界も、どちらも奴に食い尽くされ滅亡することとなる」 はい? 俺は、きょとんとしていた。 なんか、話が大きくなってきたな。 俺は、老人の話に耳を傾けていた。 老人は、続けた。 「神子を育てるためには、マナと呼ばれる魔力のようなものが必要なのだが、それを与えられるものは、この世界の者以外に限られる。この世界の者の与えるマナでは、神子は育てられんのだ。そういうわけで裏の世界であるお主のもといた世界から数百年に1度、聖母となるものが召喚される。わしは、前回召喚されたサブロウタ・オガミの子孫にあたる」 マジですか? ほけっと聞いていた俺にグーリス老人は、語った。 「前回の召喚のときに、神子は、思いの外、サブロウタの乳が気に入られたのか、これからはオガミの血を持つものからしか乳は飲まんとお誓いになられた」 ええっ? 俺は、遠く、宇宙の果てまでひいていた。 何、その変な誓いは? というか、なんで、男を召喚するんだよ! 女の人にしろよ! 「なら、あんたの一族の女の人でもいいんじゃね?」 「この世界に女は、おらん」 ええっ? 俺は、グーリス老人の言葉に驚いた。 女の人、いないの? 「本来、この世界にその概念はなかった。お主のような異世界からの召喚者が持ち込んだものだ。この世界には、男しかおらん」 マジですか? 俺は、妙に納得していた。 この世界に来てから俺は、男しか見ていなかった。 なんとなく、神殿とかいう特殊な場所だから女人禁制とかいうのかな、とか思っていたんだが。 「じゃあ、どうやって子供を作ってんだよ?」 俺がきくと、老人は、答えた。 「もちろん、男同士でだが」 うわっ! 俺は、なんか、もういろいろヤバイことを聞いたような気がしていた。 グーリス老人は、俺を微笑みを浮かべて見つめていた。 「理解できたかな?レンタロウよ」 いやいや、理解なんて出来ねぇし! 俺は、聞いた。 「なら、あんたの一族の者から神子を育てる奴を選べばいいんじゃね?」 「わしらは、もうこの世界の一部だ。神子の乳父とはなれぬ。どうしても、神子には、お主が必要なんだよ」 グーリス老人は、俺に頭を下げた。 「どうか、頼む。神子様をお育てして差し上げて欲しい」 「うぅっ・・」 俺は、呻いた。 このじいさん、なんか苦手だ。

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