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第29話 離宮
3ー8 離宮
俺たちを乗せた馬車は、王都 リスカンブルの王城 オルモント城へと向かった。
王城オルモントは、このリスカンブルの街の中央にあるどちらかというと美しいというよりもがっしりとしている要塞のように堅固で機能的な城だとグーリスじいちゃんは、言っていた。
街中を通りすぎて馬車は、城へと続く橋へと差し掛かった。
両側にガーゴイルの像の立っている橋を渡り城へと入っていくと馬車は、馬車寄せに停車した。
そこには、10人ほどの使用人らしいお仕着せを身に付けた人々が待っていた。
「よくお出でくださいました、神子様、そして、聖母さま」
使用人を代表して王家の執事らしき老人が俺たちに挨拶の言葉を述べた。
「ご苦労」
アメリがちらっと横目で見て手をあげた。
使用人たちは、それぞれお辞儀をした。
それから、執事さんは、俺たちを城へと招き入れた。
長い廊下を通り抜けると、俺たちは、さらに回廊を通り城の奥まった場所にある離宮へと向かった。
俺は、珍しいものばかりでキョロキョロと辺りを見回しながら歩いていた。
神殿も十分金のかかってそうな立派な内装だったが、この城と離宮は、もっと豪奢だった。
廊下ですれ違う使用人らしき人々は、俺たちを見ると、立ち止まりお辞儀をした。
なんか、くすぐったい感じだ。
離宮につくと、俺たちは、それぞれ別々の部屋へと案内された。
「俺とレンは、同じ部屋でもいいんだけどな」
というアメリの言葉に、執事さんは、にっこりと余裕の微笑みで応じた。
さすが、大人の対応だぜ!
「バカなことを言われないように。レン様は、将来の王妃となられるお方。王以外の者と同じ部屋で生活するなど考えられない」
イーサンが執事さんに代わってアメリに答えた。
「特に、神子様の様な方と同室にするなど、レン様の身が危険すぎる」
「危険じゃないもん!」
アメリは、膨れっ面でイーサンを睨み付けた。
「この世の全てのレンに仇なす者から、俺がレンを守るのに」
「あんたが1番危険なんだよ」
イーサンがぼそっと小声で呟いたのを聞いて、アメリは、にやり、と笑った。
わぁっ!
悪い顔してるぅ!
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