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第45話 体育ですよ!
5ー1 体育ですよ!
俺とアメリが特進クラスに転入してから2週間が過ぎた。
俺は、2週間の間にすっかり疲弊していた。
この特進クラスってやつは、主に王族やら貴族の子弟やなんかの通っているクラスらしくってな。
アメリは、ともかく俺は、なんとなく居心地が悪かった。
なんでも、奴等の考えでは、アメリは、大切な神子様らしいが、俺は、どこの馬の骨ともわからない輩なのだという。
というか。
特進クラスでの俺の立ち位置は、微妙なのだ。
まあ、無理もないかもな。
だって、俺、神子の乳父で、将来の国王の妃になると決めつけられてるし。
このクラスの連中からすれば、俺は、すっかり、男子校の中のたった1人の女子的な存在になっていた。
しかも、立場は、同じだったりするわけだからたちが悪い。
ほんとに。
例えるなら、隠れるものもない広大な荒野をたった1匹でさ迷っている子ウサギのようなものだ。
クラスメートという隠れ蓑を被ったハンターか狼であるレイテに、レイテをなんとかして俺と結びつけて王にしようと企んでいるらしいレイテの幼馴染みの従兄弟であるケイラスとの攻防。
その合間にもアメリの乳吸いがあり、そして、アメリの乳吸いのことを知ってて知らぬふりをしているんだが、明らかに俺に興味シンシンな他のクラスメートたちに、クラスで浮きまくっている俺のことを見て見ぬふりをしている教師たち。
つまりは、完全なアウェイなんだよ。
俺は、1人でクラスの全員を敵に回して自分の身を守ろうとしているか弱い乙女な状態だった。
唯一の希望は、イーサンの存在だったが、イーサンだって暇じゃないしな。
ずっと俺の番をしているわけにはいかないらしい。
あいつ、けっこう優秀だったみたいで俺の警護やらの合間に教師たちのちょっとした助手とかも勤めさせられていた。
特に今日は、朝から魔力を使った身体強化術の訓練があるせいで最悪だった。
魔力を使った身体強化術の訓練っていうのは、要するに体育ってことだった。
俺たちは、朝から教室で訓練着に着替えることになった。
というか、なんで教室?
俺は、嫌な予感がしていた。
どこか、他の部屋かなんかがあるんじゃねぇの?
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