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第56話 俺は、こいつを選ぶ!

5ー12 俺は、こいつを選ぶ! 「・・イーサン・・」 「ほう」 グーリスじいちゃんが興味深げに俺を見た。 「そうか」 グーリスじいちゃんは、俺にそっと口を寄せると囁いた。 「いるよ」 はい? 俺は、信じられないものを見るような目でじじいを見た。 「この中に、偶然にも、イーサンは、いるんじゃよ」 マジで? 俺は、ごほごぼっと咳き込んだ。 なんでいるの? 俺は、よく考えてからもう1度口を開いた。 「じゃあ、ルイス、で」 「ルイス?」 グーリスじいちゃんが目を細めた。 「王立学園の、あのルイス・アイラスのことかな?レンタロウ」 「ああ」 俺は、頷いた。 「俺のこと助けてくれた、あのルイス、だ」 「ふむ」 グーリスじいちゃんは、少し考え込んでからにやっと笑って俺にそっと囁いた。 「いるよ」 はいぃっ? 俺は、後ずさった。 「な、な、な、なんで?平民のルイス、が?」 俺がびびっているとグーリスじいちゃんが満面の笑みを浮かべた。 「言うたじゃろうが。ここには、王の候補者がきておると。お主が選ぶ相手は、全て、王の候補者じゃからな。ここに呼ばれておるにきまっているじゃろうが」 なぜか、どや顔のじじいを睨み付けて、俺は、ちっと舌打ちした。 くそぉっ! なんとか、時間を稼いでその隙に逃げようと思ったのに! ていうか、5人の内の1人は、レイテで、もう1人は、レイテの兄ちゃんのルーシェなんだろ? じゃあ、残りの3人は、イーサンとルイスと、後1人は? 俺は、必死に考えた。 俺が選びそうな相手で王になれそうな奴っていうと誰だ? 俺は、そのとき、はっと気づいた。 「決めたぞ!」 俺は、グーリスじじいに向かって言い放った。 「俺の相手は」 俺は、5人の中で1番、背の高い男を指差した。 「こいつ、だ!」 「はい?」 グーリスじいちゃんが奇妙な表情を浮かべた。 「何を言っておるんじゃ、レンタロウ」 「何って、俺の初染めの相手を選ぶんだろ?」 俺は、1番大柄なその男を指差して叫んだ。 「こいつが俺の相手、次の王だ!」 「なんじゃと?」 グーリスじいちゃんが動揺したように感じたのは、俺の気のせいか? じいちゃんは、俺に言った。 「お主は、本当に、その男を選ぶのか?レンタロウ」 「ああ」 俺は、頷いた。 「間違いなくこいつを選ぶぞ!」

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