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第61話 口づけされました。
6ー4 口づけされました。
「ル・・ルイス?」
俺は、驚きに目を見張っていた。
「なんで、ここに」
言いかけて、俺は、はっと気づいた。
そうだ!
グーリスじじいが言ってたっけ。
俺の5人の夫の内の1人は、ルイスだって。
「もう、俺がなんでここにいるのか、知ってるんだな?レンタロウ」
「ああ」
俺は、頷いた。
「でも、なんで、俺の部屋にいるんだ?」
「儀式まで神殿から出るなって言われてるんだが暇で死にそうでな。お前も暇してるんじゃないかと思って会いに来たんだ」
ルイスは答えるとどすっとベッドへと腰を下ろして俺がさっき放り出した本を手にしてまじまじと俺のことを見つめていた。
「お前、こんなの読んでるのか?」
「い、いや、これは」
俺は、慌ててロドニー神官長の本をルイスの手から奪い返すと自分の背後に隠した。
「これは・・その、俺が暇だろうからってギルバート、が持ってきてくれただけであって、別に、俺が好んで読んでいるわけじゃ」
「マジかよ」
ルイスは、にやりと笑った。
「俺に相談すれば、もっと面白い本を貸してやったのに」
「いや、俺は、こんなの、別に読みたいってわけじゃ」
「そうなの?」
ルイスは、じっと俺を見つめた。
俺は、ルイスのまっすぐで澄んだきれいな翡翠色の瞳にみいっていた。
きれいだ。
まるで、この世界の中のどんな醜いものも見たことがないような目をルイスはしていた。
俺がぼんやりとしていると、ルイスは、俺に顔をよせていきなり俺にキスしてきた。
それは、触れるだけの優しい口づけだった。
だけど。
俺は、不覚にも、胸の高鳴りを押さえられなかった。
ルイスは、俺の隙をついてもう1度俺にキスすると、ぱっと体を離した。
「ご、ごめん」
ルイスは、俺の方を見ずに謝った。
「いきなり、だよな。こんなこと・・」
「でも」
俺は、ルイスを覗き込んだ。
「俺たち、これから、もっとすごいことするんだよな?」
ルイスは、真っ赤になって目をそらしていたが、やがて俺の方へと向き直った。
「レンタロウ・・レン・・」
ルイスは、俺の唇に指先で触れた。
「お前には悪いけど、俺は、初染めの儀が待ち遠しいよ」
「マジ、か・・」
俺は、掠れた声を出した。
「俺・・レイテみたいにかわいくないし、イーサンやあんたみたいにきれいでもない。俺なんて抱いたって何も楽しくなんてないだろうが」
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