70 / 123

第70話 傷ついた花嫁

7ー2 傷ついた花嫁 少し、時を戻そう。 それは、今から1ヶ月ほど前のことだ。 王立学園で同級生に犯されそうになり、心身ともに傷ついて王宮から神殿へと逃げ帰ってきた俺は、長老であるグーリスじいちゃんの陰謀によって突然、5人の男を夫として迎えることになった。 そして、初染めの夜。 俺は、アメリとイーサンに責められて簡単に達してしまって。 他の夫たちの見守る中、いかされてしまった恥ずかしさやら、あまりの快楽を与えられたことによる衝撃やらで、俺は、体をわななかせながら思わず泣きじゃくっていた。 「レン?」 アメリが心配そうに声をかけてくる。 「レン、大丈夫?」 「ひっ・・ん・・触るなっ!」 俺は、泣きながらアメリの手を払った。 それから。 俺は、しばらく号泣していた。 見も世もなく裸のままで泣いている俺に5人の夫たちは、完全にドン引きしていた。 彼らは、俺が泣き止むまでそっと見守ってくれていた。 その上、俺の泣いている間に彼らは、5人で話し合ってくれていたのだという。 このまま、俺を無理矢理ものにしてもいいかどうか。 やがて、レイテとイーサンが俺に優しく声をかけてきた。 「もう、何もしないから。泣くな、レンタロウ。今夜は、これ以上のことは何もしないから。ね?」 「う・・嘘、だっ!」 俺は、追い詰められた小動物のようにプルプル震えながら5人を見回した。 「お、俺のこと・・みんなで好きなように、犯して・・あんなことや、こんなことを・・いっぱい恥ずかしいことする気なんだ!・・あいつらがやったみたいに!」 「あいつら?」 「王立学園の・・特進クラスの連中、みたいに・・」 俺は、涙と鼻水でぐちゃぐちゃになりながら、しゃくりあげた。 イーサンとアメリとルイスがぼそぼそと1人だけ離れて椅子に腰かけていた仮面をつけたままの男に小声で説明した。 「それは、本当か?」 男は、怒りを隠そうともしなかった。 「こともあろうにレンタロウの胸に触れたのか?私のレンに無理矢理触れた輩は、この私が皆殺す!」 「んっ・・くっ・・ひっ・・も、いい、よ・・そんなこと・・」 俺は、泣きながらも呟いた。 だが、男は、怒りを沈めようとはしない。 「いいわけがあるまい!」 男は、声を荒げた。 「我々の花嫁を辱しめ、その心身を傷つけた輩は、決して許すわけにはいかん!」 「いや・・も・・みんな、罰を受けてるし・・」 俺が言うとその仮面の男は激昂した。 「罰?そんな生易しいことでは、私の気がおさまらん!」 「ほ、ほんとに、もういい、からっ!」 俺は、泣きながら男を見つめた。 男は、どすんと椅子へと腰を下ろすと、溜め息をついた。 「まったく気が強いんだか、弱いんだか、理解しかねる奴だな、我々の花嫁は」 「だが、そんなところも彼の魅力の1つですから」 ルイスが仮面の男にグラスに入った酒を差し出した。 「どうですか?」 「ああ」 仮面の男は、ルイスからグラスを受けとるとぐっと酒をあおった。

ともだちにシェアしよう!