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第87話 家庭の事情
8ー8 家庭の事情
俺は、アメリとイーサンにお仕置きされてから少し2人と気まずくなっていた。
なんだか、2人と顔を合わせるのが恥ずかしかった。
2人は、変わらず俺に優しく接してくれたけど、俺は、2人のことを意識してしまって素直に接することができなかった。
それでも、俺は、フェイスタさんの店へは、通っていた。
「1度、関わったことだし、俺は、やっぱり仕事を続けたい」
俺は、そう、2人に訴えた。
「そのかわり、絶対にもう、乳は見せないし、触らせないし、飲まさない」
俺は、乳の売り上げで稼いだ金は全て神殿の経営している孤児院へと寄付した。
俺は、久しぶりにフェイスタさんの店に出勤するとフェイスタさんに家庭の事情でもう、乳を提供できないことを伝えた。
「しかし、これは、多くの人を救うために必要なんだ。なんとかならないか?レンタロウ」
「フェイスタさん」
俺は、板挟みになって苦悩していた。
だが、俺は、もう、乳を売ることはできない。
あんなにも怒り狂ったアメリとイーサンを見たのは初めてだし、それに、他の連中のこともある。
5人がかりでお仕置きなんてとんでもないことになたりしたら。
俺は、ぞくぞくっと体を震わせた。
そんなことになるのだけは、避けたい。
「すみません。フェイスタさん、実は、俺、神子の乳父で、その、夫も、いる身なんです。その、それで、今回のことで夫に酷い折檻をされてしまって・・」
「やっぱり、お前は、聖母様だったのか!」
フェイスタさんが俺の前にひれ伏した。
俺は、慌ててフェイスタさんに頼んだ。
「いや、そんな、たいしたもんじゃねぇし。できれば、今まで通りに接してくれたら」
俺の言葉にフェイスタさんは、頷いた。
「しかし、それでは、もう、ここで働いていただくことは無理なのでは」
「いや」
俺は、フェイスタさんに頭を下げた。
「お願いします。これまで通り、ここで働かせてください」
俺は、フェイスタさんにいづれは神殿から独立して普通に生きていく予定だということを話した。
フェイスタさんは、半信半疑だったが、俺を今まで通りに働かせてくれることを約束してくれた。
フェイスタさんは、乳の件は、とても残念がっていたけれど、俺の家庭の事情というやつを理解してくれて無理は言われなかった。
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