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第88話 魔法の飲み物です。
8ー9 魔法の飲み物です。
俺は、マナと同じような作用のある薬を作れないものかとフェイスタさんに相談してみた。
フェイスタさんは、頭を振った。
「マナは、人の手では作り出すことはできないんだよ、レンタロウ」
マジですか?
フェイスタさんは、マナというものは、人や、いろんな動物などの体を動かす力、いわば生命力ともいえるものなのだ、と俺に説明してくれた。
「生命力は、回復魔法などで分け与えることはできる。だが、それを単体で作り出すことはできない。それが、この世の理だ」
うん?
俺は、考えていた。
生命を作ることができないように、生命力を作り出すこともできないわけ?
俺は、ぐるぐると考え続けた。
なら、回復魔法は、なぜ、マナ切れを癒せるのか?
生命を分け与えるから?
でも、回復魔法を使っても少し休めば術者は、魔力が戻ってくるし。
俺は、単純に考えたら、それぞれの人間の持つ生命力を強化すればいいのではないかと思い付いた。
俺は、栄養のあるドリンクを調合して、それに身体強化の魔法を組み込んでみた。
つまり、ドリンクを飲んだものの生命力を強化するのだ。
これを実際に作ってフェイスタさんに示した。
俺は、路地にいた弱った猫を拾ってくるとフェイスタさんの見ている前でそのドリンクを与えてみた。
猫は、最初、自力でそれを飲むこともできなかったのだが、スポイトで口の中に入れて舐めさせてやるうちに徐々に回復していった。
フェイスタさんは、これを見てすごく驚いていた。
「いったい、なんの薬を作ったんだ?レンタロウ。こんなもの、見たことがないぞ!」
俺は、フェイスタさんに栄養ドリンクに生命力を強化する魔法を組み込んだものであるということを説明した。
「魔法を組み込む?」
フェイスタさんは、頭を抱えていた。
「そんなこと、きいたこともない!」
だが、マナ切れの病にかかっていた猫は、すぐに回復して元気になっていった。
フェイスタさんは、その猫に『リィ』という名を与えると店で飼うことにしてくれた。
『リィ』は、汚れて痩せ細った薄汚い野良の三毛猫だったが、元気になりフェイスタさんに生活魔法できれいにしてもらい、今では、艶々の美人猫になっていた。
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