90 / 123

第90話 リヴァイアサン

8ー11 リヴァイアサン 俺は、久しぶりに学校の休日に神殿のグーリスじいちゃんのところに会いに行った。 グーリスじいちゃんは、喜んで俺を迎えてくれた。 「やってくれたのぅ、レンタロウ」 グーリスじいちゃんは、俺にお茶をすすめてくれた。 「こんなに早くに自立できるとは。お主には、全く、驚かされてばかりじゃわい」 俺は、マナ切れの病の薬としてポーションを作ったが、それの産み出す莫大な富の一部は、神殿へと送金していた。 もう、あんたたちの力は必要ないという意思表示だった。 それと。 世話になったことに対する感謝の気持ちだ。 「ところで、レンタロウ」 改まった様子でグーリスじいちゃんが俺に訊ねてきた。 「そろそろ夫君たちをお迎えしたのかな?」 はい? 俺は、グーリスじいちゃんをじっと見つめた。 グーリスじいちゃん、知ってんのか? 俺は、初染めの夜に5人の夫のうちの誰にも抱かれることはなかった。 だが、そのことは、俺たちだけの秘密だった筈だ。 「・・知ってたのか?」 「なんのことかな?」 グーリスじいちゃんは、とぼけた様子で俺を見つめた。 目が、笑っている。 俺は、溜め息をついた。 「・・まだ、誰も迎えてないし・・」 「そうか」 グーリスじいちゃんは、頷いただけだ。 俺は、拍子抜けしていた。 もっと、怒られるもんだと思っていたのだが。 「怒らないのか?」 俺がきくとグーリスじいちゃんは、聞き返してきた。 「なぜじゃ?」 「だって、俺、誰とも、まだ、寝てないし」 俺は、なぜか、涙が目尻に滲んでくるのを感じて焦っていた。 なんで? だが、もう、止まらなかった。 気がつくと、俺は、グーリスじいちゃんにマナ切れの子供を助けた話や、乳をマナ切れの病の薬として売っていた話、アメリとイーサンにお仕置きされたことも話していた。 いつしか、涙が溢れてくるのを堪えられずに、俺は、泣いていた。 グーリスじいちゃんは、黙って俺の話をきいていたが、やがて、口を開いた。 「なぜ、この世界でマナ切れの病が起こるのかわかるか?レンタロウ」 俺は、じいちゃんの問いに頭を振った。 「世界の全てのマナは、量が変わることはない。このことは、学校で学んだじゃろ?レンタロウ」 「ああ」 俺は、頷いた。 「魔力量の不変の法則だろ?」 「うむ、そうじゃ」 グーリスじいちゃんがにっこりと微笑んだ。 「つまり、魔力量は、常に世界全体では、変化することがない。なのに、なぜ、マナ切れの病がおこるのか」 俺には、ぜんぜんわからなかった。 グーリスじいちゃんは、続けた。 「要するに、何者かがマナをよぶんに吸収しているということじゃ。そして、その何者かというのは、神子の・・アメリ様の封印するもの、リヴァイアサンなのじゃ。マナ切れの病が起こるということは、リヴァイアサンが目覚めかけているということなのじゃ」

ともだちにシェアしよう!