99 / 123
第99話 夢の中で
9ー8 夢の中で
俺がアメリと本当の夫婦になってしばらくして、アメリは、神殿へと呼び戻されることになった。
アメリは、何も言わなかったけど、俺は、これが終の別れになるかもしれないことを知っていた。
「すぐに、また帰ってくるからね、レン」
アメリは、そう言って俺の頬にちゅっとキスをしてから馬車に乗り込んだ。
俺は、去っていく馬車をいつまでも見送っていた。
アメリが神殿に帰った後も、かわらない日常が俺を待っていた。
学校。
放課後のフェイスタさんの店でのバイト。
だけど。
俺の心には、ぽっかりと大きな穴が空いたような気がしていた。
アリストリアさん、ギルバート、みんな俺に気を使ってくれていた。
もちろんイーサンも。
イーサンは、俺がアメリに抱かれた翌日に王宮から戻ってきてすぐに異変に気づいたのだという。
イーサンは、ギルバートとアリストリアさんに一言だけきいたらしい。
「我々の花嫁は、幸福なのか?」
イーサンのその問いに2人が頷くとイーサンは、口許に微笑みを浮かべた。
「なら、いいんだ」
イーサンは、俺にもアメリにも何も言わなかったから、これは、アリストリアさんとギルバートからきいた話だった。
アメリが去って1ヶ月が過ぎようとしていた頃のこと。
俺は、風邪をひいてしまったらしくって少し寝込んでいた。
熱を出して寝ている俺の看病をイーサンは、仕事を休んでまでしてくれた。
2日たっても熱の下がらない俺を心配したイーサンは、俺の体を冷やし、滞ったマナの流れを整え、悪いマナを排出させるために俺の体を暴いた。
そした、俺の下半身へと顔を埋めるとそこを口に含んだ。
「あっ・・だ、め・・」
俺は、熱にうかされながら夢うつつの中でイーサンに抵抗した。
だけど、イーサンに口で奉仕されて、俺は、すごく気持ちよくって。
そのまま、すぐに達してしまった。
俺は、そのまま、眠りに落ちていった。
気がつくと、熱は、下がっていた。
俺は、翌朝、イーサンと顔を合わせたとき、頬が火照ってくるのを隠せなかった。
「イーサン、あの・・」
「よくなりましたね、レン様」
イーサンは、いつもと変わらない様子だったから、俺は、小首を傾げた。
もしかして、あれは、夢だったのかな?
あんな、夢を見るなんて。
俺、溜まってんのかな?
考えながら、イーサンが給仕してくれた朝食を一口食べて、なぜか、俺は、涙が出そうになっていた。
ともだちにシェアしよう!