100 / 123
第100話 ご懐妊ですか?
9ー9 ご懐妊ですか?
それから、しばらくして、俺は、また体調を崩した。
吐き気がして何も食べられない。
俺は、だんだん痩せていった。
アメリに会えない日々が続いているからかもしれない。
俺は、何度も、神殿へとアメリを尋ねていったのだが、アメリには会わせてもらえなかった。
アメリが吸わなくなったせいか、俺の乳は、張って痛いほどだった。
時々、溢れ出してシャツがぐっしょりと濡れていることもあった。
そんなある日、俺は、バイト中に倒れてしまい、そして、フェイスタさんは、俺に言った。
「いくら病気じゃないとはいっても、あまり無理はしちゃいけないぞ、レンタロウ」
はい?
俺は、ハトマメ状態で驚いていた。
病気じゃない?
だって、俺、吐き気がして、何も食べられないし、なんだか微熱も続いてて、こんなにふらふらなのに?
俺は、フェイスタさんの病気じゃない発言は、俺を思いやってのことだと思っていた。
やっぱり、俺は、もうだめなのかもしれない。
アメリを失って、俺はもう、死んじゃうのかも。
俺がそう思い込んでいると、夕食後、俺の様子をじっと見つめていたイーサンが俺を不意に抱き上げてベッドまで運ぶと、俺を横たわらせて、頬に掠めるようなキスをした。
「ああ、レン様。あなたがそんな顔をしていてはアメリ様も悲しみます。なにしろ、あなたの体には、今、将来のこの国の王が宿っているのですから」
はい?
俺は、きょとんとしてイーサンを見上げていた。
何、いってんですか?
しばらく、俺は、ぼぅっとイーサンの顔を見つめていた。
そして。
その意味に気づいて、俺は、かぁっと頬が熱くなった。
「む、無理無理無理!無理だから!俺が子供を産むなんて、絶対、無理だろっ!!」
「大丈夫です、レン様」
イーサンは、俺の手を取るとそこに口づけた。
「あなたは、1人ではない」
マジですか?
俺の心は、不安とか、恐怖とか、いろんな感情が渦巻いていて、俺は、すっかりパニック状態だった。
でも。
イーサンの言葉を聞いていると、俺の心は、だんだん落ち着いていった。
「大丈夫。レン様。アメリ様を無事に育てたあなたです。きっと、大丈夫です」
イーサンは、俺の耳元で繰り返し囁いた。
俺は、イーサンの囁く声をききながら、そのまま眠りについた。
ともだちにシェアしよう!