102 / 123

第102話 海の民

9ー11 海の民 ある日、俺が学校から帰ってくると、光の精霊王と魔王の2人が出迎えてくれた。 「「帰ったか、レンタロウ。待ちかねたぞ」」 2人は、俺の鞄を持つと、俺をリビングへと導き、ソファに座らせた。 そして、俺の左右両側にそれぞれ腰を下ろすと、俺に訊ねた。 「どれ、レンタロウ、今日は、何を学んできたのだ?」 まったく。 おかんかよ。 俺は、苦笑いしながらも2人に答える。 「今日は、来週から始まる合宿のオリエンテーション、えっと、説明会だよ」 「「合宿?」」 2人がきくので俺は、説明した。 「来週から魔法学と剣術の授業の特別講義でダンジョンへ行くことになってるんだよ」 「どこのダンジョン、だ?」 魔王がきいたので、俺は答えた。 「詳しいことは、まだ、知らされてないけど確か、中級レベルのダンジョンだとか言ってたな」 「そうか」 魔王は、頷いた。 俺たちは、それからアリストリアさんとギルバートと一緒に、夕食をとった。 夕食は、アリストリアさんの自慢の蒸し鶏サラダとシチューだった。 この頃、俺がルイスに頼んで胡椒とか香辛料を手に入れてもらい使用しているせいか、すごく味が美味しくなっていた。 この香辛料は、実は、海の民から仕入れたものだった。 この世界には、大陸は、1つしかなく、その大きな大陸の回りを巨大な海が囲んでいた。 この海を支配している者が、海の民だあった。 だが、海の民は、大陸の国々とはあまり友好的とはいえなかった。 だから、塩すら、この国では、手に入れることが難しかった。 大陸の東に塩の湖があり、そこから塩を仕入れるのだということだったが、それは、とても高価でなかなか庶民には手が出せなかった。 ルイスは、俺に内緒で教えてくれたのだが、ルイスの親父さんは、海の民につてがあり密かに海の民との交易をしているらしい。 「それって、いけないことなのか?」 俺がきくと、ルイスは、答えた。 「国の禁止していることをしているんだからな。今は、黙認されているけど、海の民との交易は、必要なことだからな」 俺は、ふと気づいて訊ねた。 「あの、この家を贈ってくれた人って、もしかして、海の民の?」 「アリストリアさんが言うには、そうらしいな」 俺は、小首を傾げた。 「なんで、海の民が俺に贈り物をくれたんだ?」 「それは、彼らが、お前の重要性を認めているからだろう」 ルイスは、俺に話した。 「新しい王となるお前なら、海の民との長い不和を終わらせることができるのではないかと期待しているのかもしれないな」 そんな、政治問題があったのか。 俺は、アリストリアさんのシチューを食べながら、思い起こしていた。 俺が王になることに期待している人もいるんだな。 一応、王位につくのは、魔法学園を卒業してかららしく、それまでは、宰相とかレイテたちが政治を司っている。 俺、しっかりしないとな。 みんながついているとはいえ、がんばらないと。 でも、できれば、王様には、レイテとか、イーサンになってほしいんだが。 しかし、この国の決まりからすれば、現王位継承権第一位は、神子の嫁となった俺なんだという。

ともだちにシェアしよう!