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第110話 救いですか?

10ー6 救いですか? 「えっと・・大きな鯨?」 俺は、独り呟いた。 すごいな。 首ながクジラ? 俺が、こわごわ謎の巨大生物を見つめていると、誰かが後ろから声をかけてきた。 「あれは、海竜だ」 振り向くとそこには、長い薄いブルーの紙を後ろで束ねた船乗りらしい頑強そうな日に焼けた精悍な顔立ちの中年男が立っていた。 「海竜?」 俺がきくと、中年男は、頷いた。 「ああ。怪物の使い、だ」 怪物。 俺の脳裏にアメリが封印することになっているリヴァイアサンのことが思い浮かんでいた。 「リヴァイアサン・・?」 「よく知ってるな。さすがは、聖母様だな」 中年男は、人のよさげな開けっ広げな微笑みを浮かべた。 「まさにリヴァイアサンの御使い、だ」 マジかよ? 俺は、戸惑っていた。 なんで、俺、こんなとこに連れてこられてるの? 「なぜ、自分がここにいるのか、わからないという感じだな、レンタロウ」 中年男は、俺の名を呼んだ。 「この船は、まつろわぬ海の民の船『クィンリストリア』だ。そして、俺は、この船の船長で海の民の長、カイナだ」 海の民? 確か、俺に家をくれた人たちだな。 俺は、長に訊ねた。 「俺に家を贈ってくれた人?」 「そうだ」 中年男は、人好きのする笑顔を浮かべた。 「よくわかったな、レンタロウ」 「なんで俺を誘拐したわけ?」 俺が問うと、長は、真顔で答えた。 「あんたに救ってもらいたい人がいるんだよ、レンタロウ」 はい? 俺は、じっと長を凝視していた。 どういうこと? 問いかけるような俺の眼差しに気づいた長は、話し出した。 「そのお方は、本来、この世界の王として君臨されるべき血筋のお方だ。しかし、あまりにも過去に囚われすぎていて妄執の中で苦しみ続けておられるのだ。レンタロウ、あんたにその人を救ってやってもらいたいんだよ」 「 無理だよ!」 俺は、即答していた。 「あんたたちは、俺のことを誤解している。俺は、ただの人間で誰かを救えるようなチートな能力は持ち合わせてはいない」 「だが、あんたは、神子を孤独から救った。それに、多くの病に苦しむ人々を救った。極めつけに」 長は、俺を見つめた。 「長い間のしがらみに苦しんでいた光の精霊王と魔王をも救った」

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