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第118話 忘れさせてくれ

11ー2 忘れさせてくれ 俺は、泣きながらふらふらと1人、船の中の部屋へと戻っていった。 俺は、部屋へと戻るとベッドに倒れ込み、枕に顔を埋めた。 俺には、アメリは、救えない。 決して、救うことができないのだ。 俺は、喉の奥から漏れる慟哭を圧し殺した。 泣いて、泣いて。 そして。 俺は、長い長い時間の後、起き上がった。 俺は、決意していた。 アメリと共に生きることができないなら。 共に死ぬしかない。 ただ、腹の子供のことがあるから、子供が生まれるまでは、俺は、生きなくてはならない。 だが。 無事に子が産まれたら、俺は、アメリの後を追おう。 俺が決意した頃。 アメリの乗った神船が遠くに見えてきていた。 神船は、何十隻もの軍の船に守られていて、俺たちは、うんと離れたところから見つめることしかできなかった。 「すまんな、レンタロウ。これ以上、近づくことができん」 長に言われて、俺は。頷いた。 「わかってる。ありがと、カイナ。俺をここまで連れてきてくれて」 「いや、当然のことだ。あんたは、俺たち、海の民の王の妃であり、世界の王なんだからな」 ルイスは、本当は、リーファス・オ・ライゼンといい、この海の民の王なのだという。 ルイスは、海を支配する商人でもあった。 親父さんではなく、ルイス本人がリーファス・アイラスだったわけだった。 俺は、1人甲板の上で遠くに見える船の群れを見つめていた。 たぶん。 アメリは、あそこにいるんだな。 「何を考えている?レンタロウ」 俺は、振り返った。 背後から歩み寄ってきたルイスが俺の肩をそっと抱いた。 ルイスに肩を抱かれて、俺は、吐息を漏らした。 俺は。 このところ毎日、ルイスに抱かれていた。 こわれるままに、俺は、ルイスに抱かれていた。 いや、違うな。 俺が、ルイスを求めていたんだ。 こんな時なのに、俺は、毎日、体が疼いて堪らなくって。 俺は、毎夜、ルイスを求めて体を開いていた。 「アメリの・・神子の封印の儀が明日、早朝に行われることがわかった」 ルイスは、俺に言った。 俺は、びくっと体を強ばらせて息を飲んだ。 いよいよ、だ。 俺は、その夜も、ルイスに抱かれた。 激しく、深く、俺は、ルイスを求めた。 俺は、ルイスを抱き締め囁いた。 「頼む・・全てを忘れさせてくれ・・」 俺は、朝までルイスの肉体に溺れた。

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